RECORD

Eno.623 飯田飯太の記録

前日譚【side:飯田飯太】

「はぁ、はぁ、いくら歩いても路地裏から出られない…完全に迷子だ…」


カレントネットワークスの隔離サーバーにアクセスしてしばらくしたある日のこと。
日課の情報収集とランチの新規開拓を兼ねて街を歩いていると、妙に惹かれる路地裏を見つけ入ってみることにしたのだが、それが間違いだった。

進めど進めど店は見つからず、戻ろうにも来た道がわからず、気付けば空は夕暮れ時になっており周りの空気もどこか異様だ。

どうやって帰ればいいのだろうと途方に暮れて足を止めようとしたとき、どこかから声が聞こえた気がした。「止まってはダメよ、進み続けて。」と。

疑問に思い振り返えると同時に、今度は本当に声を掛けられた。

「君、こんな所で何してるの。迷った?なるほど、一般人か…少しついてきて。出口はこっちだから。」


半ば強引に手を引かれながら、路地裏を後にする。

後から聞いた話だが、あの路地裏は”裏世界”というものらしく、声をかけてくれた神秘局?の人に見つけてもらえなければ帰ってこれなかったかもしれないそうだ。
”裏世界”に迷い込めてしまう人は限られているらしく、その後色々な説明と注意を受けて解放された。

「いやあ、今日は災難だったなぁ…。あんなアニメみたいなことが本当にあるなんて…。ん?じゃあ、この前見つけた報告書って…本物?」


背筋が少し凍る。
絶対にバレないようにしよう。そう思いながらベッドに横になる。
そして、疲れからかそのまま意識を手放してしまう。その間際、また声が聞こえた気がした。

「あと少しだったのに」と。