RECORD
Eno.139 浮季草 斂華の記録
温泉に行きたかった話
あの日、皆で温泉に行く予定を立てていた事は知っていた。正直、行きたいと思ったのは確かだ。
私は、少なくとも高1までは……この身体になってからも、人との深い関わりを避けようとしていた。だけど、たぶん、おそらく。その生活で、ストレスは溜まっていたのだろう。その反動で、私は今、人と関わり合いを持ちたくなっている。
だけど、行けなかった。
身体が隠せるプールとは訳が違うのだ。理由は2つ。
どちらとも付かない中途半端な私は、皆との裸の付き合いをしてはいけない、と思ったのが一つ。
そして、どう言い訳をしたとしても自傷としか取れない傷が、隠しきれない、胸の目立つところにあるのが、もう一つ。
1つ目は、言わずもがなだろう。
風呂に入る、という目的だけならばまだしも、レクリエーション、コミュニケーションの一貫としてお風呂に入る時、どうしたら良いのか分からないのだ。
そして、その様を遠目に見つめるのも、近場で触れ合うのも、視界にいれないように目を背け続けるのも失礼だ。
2つ目は、より皆に気を使わせてしまうから。
胸に刻まれた、膨らみ始めたそれを、衝動的に除去しようとした傷。
幸い、すぐ痛みで正気には戻ったから良いものの、この傷は思ったより深くて、しかも親にも隠すようにしていたから──不完全に治って、結構な痕が残ってしまった。
今でも、鏡を見るのは苦手だ。この神秘の元が鏡の怪奇だし、変わっていく自分の身体を見るのも嫌だし、最近はこの衝動的に付けた傷が、取り返しの付かないことにも嫌気が差す。
──ただ、景山さんが最初、身体の事情で入れないから足湯に行くと聞いて。それだったらと参加しようと思ったけれど、金屋子さんや緋色ちゃん、他の皆が足湯に行くと聞いて、『それなら良いか』と思ってしまった。
……そして、景山さんをダシにしようとした自分が嫌になって、余計行きづらくなった。
徹頭徹尾、私は私の為に生きている。生物としては正解だろうけれど、人という、社会を形成する生き物としては、失格だ。
結局、身体に傷があること自体はバラしてしまった。だから、今後は足湯に行こうと思う。
……行きづらくなったのは、それより前に、一つ目の理由があるんだったら、混浴だったらいけるかも、という危うい認識があった事は、否定しないけれど。
︙
これは人としてマズい。
私は、少なくとも高1までは……この身体になってからも、人との深い関わりを避けようとしていた。だけど、たぶん、おそらく。その生活で、ストレスは溜まっていたのだろう。その反動で、私は今、人と関わり合いを持ちたくなっている。
だけど、行けなかった。
身体が隠せるプールとは訳が違うのだ。理由は2つ。
どちらとも付かない中途半端な私は、皆との裸の付き合いをしてはいけない、と思ったのが一つ。
そして、どう言い訳をしたとしても自傷としか取れない傷が、隠しきれない、胸の目立つところにあるのが、もう一つ。
1つ目は、言わずもがなだろう。
風呂に入る、という目的だけならばまだしも、レクリエーション、コミュニケーションの一貫としてお風呂に入る時、どうしたら良いのか分からないのだ。
そして、その様を遠目に見つめるのも、近場で触れ合うのも、視界にいれないように目を背け続けるのも失礼だ。
2つ目は、より皆に気を使わせてしまうから。
胸に刻まれた、膨らみ始めたそれを、衝動的に除去しようとした傷。
幸い、すぐ痛みで正気には戻ったから良いものの、この傷は思ったより深くて、しかも親にも隠すようにしていたから──不完全に治って、結構な痕が残ってしまった。
今でも、鏡を見るのは苦手だ。この神秘の元が鏡の怪奇だし、変わっていく自分の身体を見るのも嫌だし、最近はこの衝動的に付けた傷が、取り返しの付かないことにも嫌気が差す。
──ただ、景山さんが最初、身体の事情で入れないから足湯に行くと聞いて。それだったらと参加しようと思ったけれど、金屋子さんや緋色ちゃん、他の皆が足湯に行くと聞いて、『それなら良いか』と思ってしまった。
……そして、景山さんをダシにしようとした自分が嫌になって、余計行きづらくなった。
徹頭徹尾、私は私の為に生きている。生物としては正解だろうけれど、人という、社会を形成する生き物としては、失格だ。
結局、身体に傷があること自体はバラしてしまった。だから、今後は足湯に行こうと思う。
……行きづらくなったのは、それより前に、一つ目の理由があるんだったら、混浴だったらいけるかも、という危うい認識があった事は、否定しないけれど。
(混浴……。)
その手があったか……!?と思いつつ混浴だからオッケー♪はそれはそれで人としてマズくないかという思いに揺れたあと別のそもそもな問題がある事を思い出し座り直すも混浴が頭から離れなくなって暫く顔は赤いままになるでしょうたぶん。
これは人としてマズい。
