RECORD

Eno.26 朔 初の記録

CASE:7


「はっちゃんはさ、バド部でしょ〜」

「んぇっ」

友達がそう指摘すれば、あの子は、ひゃっくりみたいな声をあげて、ただでさえ丸っこい目をさらに丸くさせて、瞬きをしていた。
どうしてわかったの、みたいな顔を思いっきりしてるのが、わざとらしくて変だった。
わざとじゃないから、笑いが漏れたのだけども。

「紹介会の時の顔見てたらわかるよ。すごい目がキラキラしてた」

「目が」

比喩で使うことはありますけどって、はにかむ笑い方はどこか苦い。
そんな目をキラキラさせてましたかね、と続く言葉もにがそうだった。

「してたよ〜、憧れが目から溢れてたもん」

「目から」

「ね〜、XX!」

私の方に話が回れば、うん、と縦に頷いた。
それくらいに眩しそうにしていた。
ように見えたのは、当然私だけではなかったらしい。
友人もそうだったと言う話だ。

「あの、あの……!」

「…」

「小さな先輩が、かっこよくて」
「私もっ、あれくらい動けるようになれたら」

「…きっと、自分にもっと自信を持てる気がしたんです」

──よくある回答を、秘密にしてねって言うみたいにして口にした。
内緒話ってほどではないが。
きっと誰にも内緒にしてほしいように。
口の中で言葉が解かれていた。

「…くぅ〜、」

「はっちゃんは可愛いな〜…!」

なんて、それを聞いた友人は、あの子に抱きつくみたいな仕草を見せて。
本当に腕を回しはしないんだけど。
それにやっぱり、あの子はあわわと慌てて見せるんだった。
耳まで赤いのを見ながら。

「よし、なら、あたしもバド部に入ろう」

──それは寝耳に水だったけども。

え、と固まったあの子と同じ。
私も、変な声が出てしまった。
予想外、奇想天外。
二人でその子の顔を見れば、顎に手を当てながら。
突拍子もなく。

「あたしは本気」



──真実なのだった。