RECORD

Eno.361 ジャンヌ土岐マリアムの記録

ふなまつりの記録

久しぶりにふなまつりを楽しめた。

初めて参加したのは中等部一年の頃。鈴菜とバディを組んで中等部から寮生活を始めて。
それで北摩市の住人になったことでこのお祭りを知った。

一年の頃は右も左もわからず右往左往しながら。
二年の頃は一年の時の反省を生かして出店のチェックをして。
三年の頃は静かなスポットを見つけて花火の明かりの下で語り合った。


だが……高等部一年の時は、行けなかった。
GWに鈴菜が死んでしまった……いや、私が殺してしまったから。
二年の時になってもまだ行く気にはなれなくて。

そうして迎えた、今年のふなまつり。
今回はぶらぶらと歩いていくだけのつもりだった。

けれど、その予想は覆る。
私と形は違えども大切な人を喪い、今もずっと思っているが故にバディを作ろうとしない後輩、白上奏の姿を見つけたからだ。

鈴菜を失って以降、私は大切な人を作る気になれないでいる。
鈴菜を殺したことによる自己嫌悪、罪悪感。
また失うんじゃないかと言う恐怖感。
奏と違って負の感情がゆえにバディを作れない私。

そんな私が、気づけば奏に「一緒に祭りを見て回ろう」と誘っていた。
どの出店を回っても楽しくて(一番笑い転げそうになったのは焼肉串屋だったが。結局赤字は大丈夫だったのだろうか?)、
上品なたたずまいの奏の別の一面も見れて。

だが、それは親密な友情のもたらしたことではない。
二人して同じくバディを作ろうとしない者同士だから出来たことだ。
お互い一線を引き合うと判っているからこそ、
奏は想い人を裏切ることがなく、私は負の感情に苛まれることがなく。

そんな一種の安心感が、私達二人にはあるのだと判った。


久しぶりに、誰かを親しみを込めた呼び捨てで呼ぶことが出来た。


この特別な関係に、私はしばらくもたれかかろう