RECORD
Eno.763 天堂アヤメの記録
雨と恋、私の幸せ
表の私は未熟で感情を制御しきれない。
だからこそ裏の私があるのだが、それで少し困ったことになった。
雨の日の学校で、誠が傘を忘れてびしょ濡れになってやってきた。
私は彼が帰りにも濡れたらいけないと思い、一緒に帰る事にしたのだ。
彼は風邪気味になっていて、帰り道それを心配しながら寄り添って帰っていた。
誰かと相合傘なんて初めてだ、なんて最初は笑っていたけれど。
ふと、話題が人が怖いかだとか、自分が怖いとか、そういったものに変わってしまっていて。
その流れで、彼が、実父を殺しかけた事を知った。
彼が勉強嫌いなのは家族のせいだと聞いている。
トラウマさえ植え付けられ、学校生活が苦労しているのも知っている。
一番身近な人間によって、彼の人生観が大きく狂わされたのを、良く理解しているつもりだった。
何故か私は、怒りが込み上げてきた。復讐心が叫んでいた。
足を止め、雨に打たれながら「そんな事をしたのだから、殺されかけて当然だ」と。
思わず口にして……冷静になった時には、色々とぶちまけた後だった。
……そんな私を、誠は傘を閉じて優しく抱きしめてくれた。
一緒に同じ場所に立って、復讐心を優しく包みこんでくれた。
あの時のように、彼の腕の中は安心することができて。
ふと冷静になって、どうしてこんなにも怒りが湧き上がったのかを考えて。
お祭りの帰りに、それは恋だと言われたのを思い出した。
きっと私は、誠の事が好きなんだと思う。
好きだから、彼に対する不条理が許せなかったんだと思う。
こんな気持ちは初めてだから、まだ上手く理解しきれていないけれど。
でも、彼が自然な笑顔を見せてくれていると、心から暖かい気持ちになって、安心するのは確かだ。
それから濡れたまま帰って、次の日に互いに体調を崩して。
うっかり私も風邪気味だとSURFで言ってしまって、後悔をした。
そんな事を言えば、優しい彼は気にして休めないだろうというのに。
やっぱり愚鈍で弱い私は、どうしても好きになれない。
……部屋で寝ている最中、ずっとこれからの身の振り方について考えていた。
私は復讐者で、異世界人。この世界からしたら部外者で、日常を歩めない人間。
そんな人間が現地の者と恋をして、相手を幸せに出来るわけがない。
私はこれまで通り彼を支えて、彼が平穏で幸せで居てくれたら良いと思っている。
私が必要以上に幸せになることなんて、無くていいのだ。
……休みながら色々考えた後、部屋の外で浴びた外気は何処か心地よかった。
僅かな風を感じながら、心に決めた事をもう一度復唱する。
私は、彼がこれ以上苦しまないように生きていてくれたのなら幸せだ。
だから私は、今まで通り最大限彼の力になってあげたいと願う。
それでいい。それ以上の幸せを求めてはいけない。
それで、十分幸せだから。
だからこそ裏の私があるのだが、それで少し困ったことになった。
雨の日の学校で、誠が傘を忘れてびしょ濡れになってやってきた。
私は彼が帰りにも濡れたらいけないと思い、一緒に帰る事にしたのだ。
彼は風邪気味になっていて、帰り道それを心配しながら寄り添って帰っていた。
誰かと相合傘なんて初めてだ、なんて最初は笑っていたけれど。
ふと、話題が人が怖いかだとか、自分が怖いとか、そういったものに変わってしまっていて。
その流れで、彼が、実父を殺しかけた事を知った。
彼が勉強嫌いなのは家族のせいだと聞いている。
トラウマさえ植え付けられ、学校生活が苦労しているのも知っている。
一番身近な人間によって、彼の人生観が大きく狂わされたのを、良く理解しているつもりだった。
何故か私は、怒りが込み上げてきた。復讐心が叫んでいた。
足を止め、雨に打たれながら「そんな事をしたのだから、殺されかけて当然だ」と。
思わず口にして……冷静になった時には、色々とぶちまけた後だった。
……そんな私を、誠は傘を閉じて優しく抱きしめてくれた。
一緒に同じ場所に立って、復讐心を優しく包みこんでくれた。
あの時のように、彼の腕の中は安心することができて。
ふと冷静になって、どうしてこんなにも怒りが湧き上がったのかを考えて。
お祭りの帰りに、それは恋だと言われたのを思い出した。
きっと私は、誠の事が好きなんだと思う。
好きだから、彼に対する不条理が許せなかったんだと思う。
こんな気持ちは初めてだから、まだ上手く理解しきれていないけれど。
でも、彼が自然な笑顔を見せてくれていると、心から暖かい気持ちになって、安心するのは確かだ。
それから濡れたまま帰って、次の日に互いに体調を崩して。
うっかり私も風邪気味だとSURFで言ってしまって、後悔をした。
そんな事を言えば、優しい彼は気にして休めないだろうというのに。
やっぱり愚鈍で弱い私は、どうしても好きになれない。
……部屋で寝ている最中、ずっとこれからの身の振り方について考えていた。
私は復讐者で、異世界人。この世界からしたら部外者で、日常を歩めない人間。
そんな人間が現地の者と恋をして、相手を幸せに出来るわけがない。
私はこれまで通り彼を支えて、彼が平穏で幸せで居てくれたら良いと思っている。
私が必要以上に幸せになることなんて、無くていいのだ。
……休みながら色々考えた後、部屋の外で浴びた外気は何処か心地よかった。
僅かな風を感じながら、心に決めた事をもう一度復唱する。
私は、彼がこれ以上苦しまないように生きていてくれたのなら幸せだ。
だから私は、今まで通り最大限彼の力になってあげたいと願う。
それでいい。それ以上の幸せを求めてはいけない。
それで、十分幸せだから。