RECORD
Eno.427 大狼拾希の記録
リスペクト
「で、結局先生が使うそれって何なのさ」
「さて、さっき話した通りさ。僕が主に使役…というと少し違うんだけど、協力を仰いでいる怪異達というのは、とある一つの界隈で生まれた歌に起因している」
「歌?」
「そう、歌。…曲でもあるかな。妖怪だって、元を辿れば人々の周りに起こった様々な事象を妖怪という不可解な存在として定義することから生まれた空想なんだ」
「けどあいつら裏じゃウロウロしてるじゃん?」
「そう、それは空想が形を得て存在している。こうなると不思議だ。実際に大昔に起こった様々も、現存している彼らの仕業なのかも知れないからね」
「それって現実なの?それとも空想?」
「両方だ。だから科学の目によって否定されることで、彼らが持つ神秘は掻き消される。
空想の産物として処理され…解体されるんだ」
「まあそれはわかってるよ。で、結局先生の…」
「空想というものは、より強固なイメージで固めることでその力を高めていく。神話だってそうだ。全く別の地域の神が同一視されることがある。似たような権能を扱うからね」
「また話逸れてんよー」
「逸れてない逸れてない。同一視というのは大事な要素なのさ。似たような存在を同一のものとして認識させることで、それらは互いに結びついて力を高める。僕とともにいる"彼ら"もそう。彼らは元を辿ればただのメロディーと歌詞に過ぎなかった。しかし、似たような空想から形を做したものたちがいる。都市伝説だ。都市伝説というものは曖昧な表現であるがゆえに、人々に好まれて…曖昧に広がり…そして様々な形へと変化していく」
「……。あ!じゃあ先生と一緒の連中は、そのなんちゃら…曲と都市伝説が同一視されて力を増したものって言いたいのか?」
「その通りだね。まあ、それ以外の存在が混ざってたりするのもいるにはいるけど、大体はその通り。そして、僕はそんな"彼ら"のことをこう称している。『リスペクト』…と」
「尊敬…?」
「そう。尊敬…敬意…尊重。敬う念。それは一つの…本当に薄い信仰の形の一つなんだ。"彼ら"は信仰というものを得るには余りにも弱々しい。しかし、かつての始まりに対する尊敬によってその存在を残し続けてきた」
「……。信仰ではない…神ではないと示すことで、神隠しを乗り越えた?」
「ちょっと違うかな。彼らは近代の概念だ。けど、神隠しは今も続いている。それに呑まれない理由の一つとしては正しいかもしれないね。だから、彼らは…僕の下に集まっているものたち以外にもまだ無数に存在する。ここにも…もちろん、あの街にもね」
「探しに行かないのか?結局その探査対象ってのもリスペクトなんだろ?あの街にいるって…」
「さて、今は行かないほうが良いと本部からのお達しでね。こればっかりは逆らわない方がいいんだ。逆らうと取り返しがつかなくなることが多いんでね。僕自身も、何となくそんな気がしているんだ。まるで、どこかの別の僕がそうしろと言っているような気がしてならない」
「……。じゃあ、俺が変わりに行こうか?その…なんちゃらの都ってのを探すのさ」
「アハハ、その思い切りの良さは、試験勉強に挑む時とかに発揮してくれたまえ。百次くん」
「さて、さっき話した通りさ。僕が主に使役…というと少し違うんだけど、協力を仰いでいる怪異達というのは、とある一つの界隈で生まれた歌に起因している」
「歌?」
「そう、歌。…曲でもあるかな。妖怪だって、元を辿れば人々の周りに起こった様々な事象を妖怪という不可解な存在として定義することから生まれた空想なんだ」
「けどあいつら裏じゃウロウロしてるじゃん?」
「そう、それは空想が形を得て存在している。こうなると不思議だ。実際に大昔に起こった様々も、現存している彼らの仕業なのかも知れないからね」
「それって現実なの?それとも空想?」
「両方だ。だから科学の目によって否定されることで、彼らが持つ神秘は掻き消される。
空想の産物として処理され…解体されるんだ」
「まあそれはわかってるよ。で、結局先生の…」
「空想というものは、より強固なイメージで固めることでその力を高めていく。神話だってそうだ。全く別の地域の神が同一視されることがある。似たような権能を扱うからね」
「また話逸れてんよー」
「逸れてない逸れてない。同一視というのは大事な要素なのさ。似たような存在を同一のものとして認識させることで、それらは互いに結びついて力を高める。僕とともにいる"彼ら"もそう。彼らは元を辿ればただのメロディーと歌詞に過ぎなかった。しかし、似たような空想から形を做したものたちがいる。都市伝説だ。都市伝説というものは曖昧な表現であるがゆえに、人々に好まれて…曖昧に広がり…そして様々な形へと変化していく」
「……。あ!じゃあ先生と一緒の連中は、そのなんちゃら…曲と都市伝説が同一視されて力を増したものって言いたいのか?」
「その通りだね。まあ、それ以外の存在が混ざってたりするのもいるにはいるけど、大体はその通り。そして、僕はそんな"彼ら"のことをこう称している。『リスペクト』…と」
「尊敬…?」
「そう。尊敬…敬意…尊重。敬う念。それは一つの…本当に薄い信仰の形の一つなんだ。"彼ら"は信仰というものを得るには余りにも弱々しい。しかし、かつての始まりに対する尊敬によってその存在を残し続けてきた」
「……。信仰ではない…神ではないと示すことで、神隠しを乗り越えた?」
「ちょっと違うかな。彼らは近代の概念だ。けど、神隠しは今も続いている。それに呑まれない理由の一つとしては正しいかもしれないね。だから、彼らは…僕の下に集まっているものたち以外にもまだ無数に存在する。ここにも…もちろん、あの街にもね」
「探しに行かないのか?結局その探査対象ってのもリスペクトなんだろ?あの街にいるって…」
「さて、今は行かないほうが良いと本部からのお達しでね。こればっかりは逆らわない方がいいんだ。逆らうと取り返しがつかなくなることが多いんでね。僕自身も、何となくそんな気がしているんだ。まるで、どこかの別の僕がそうしろと言っているような気がしてならない」
「……。じゃあ、俺が変わりに行こうか?その…なんちゃらの都ってのを探すのさ」
「アハハ、その思い切りの良さは、試験勉強に挑む時とかに発揮してくれたまえ。百次くん」