RECORD
Eno.662 辰森 ユキの記録

金の瞳が威圧するように光る。今回のコウの通話相手は“異界の竜”その人(?)である。

鋭い眼光にも涼しい顔のコウ。“異界の竜”は仕方なさそうな顔で苦笑する。

褐色の肌に金の瞳。髪は砂に似た色をしているが、どういう訳か影になる部分がシアンカラーである。
動く度に必ず影の部分の色が変わるため、染めたりしている訳ではないようだ。

悪びれた様子もなく、くつくつと笑うコウ。
“異界の竜”もまた同じ様に笑った。

ならどうして、とコウが問う前に話は続く。

しんみりとした空気が漂う。

闘争の果てに世界を滅ぼしかけた“異界の竜”達は穏やかな気性の者達の一部を集め、荒廃した世界を後にした。
永き時を経て新天地へとたどり着いたが、世代を重ねる内に先祖返りをして荒々しい気性の者が度々生まれるようになった。
そんな世界さえ滅ぼしかねない存在をいつまでも手元においておくつもりかね?
……とコウに脅しをかけたのだ。

“異界の竜”は破顔一笑、晴れやかな顔を見せる。

コウは鳩が豆鉄砲を食らって爆発四散すると同時、盆回しが流れて地球が滅亡したような顔をした。
ある日の通話3

「辰森くんさあ……なんて言ったのあの子に。私、説得してほしいなーってお願いしたよね?」
金の瞳が威圧するように光る。今回のコウの通話相手は“異界の竜”その人(?)である。

「善処はしたのですが……」
鋭い眼光にも涼しい顔のコウ。“異界の竜”は仕方なさそうな顔で苦笑する。

「まあそりゃあ、君たちに裁量を与えたのは私だし?好きにして貰って構わないんだけど、さ」
褐色の肌に金の瞳。髪は砂に似た色をしているが、どういう訳か影になる部分がシアンカラーである。
動く度に必ず影の部分の色が変わるため、染めたりしている訳ではないようだ。

「いえ、ね……片付けが進まないようだったから、先に別の心残りを片付けてみたら?って。
無い、と言うから根掘り葉掘り色々聞いてみたらまあ……」
悪びれた様子もなく、くつくつと笑うコウ。
“異界の竜”もまた同じ様に笑った。

「まあ、さ。私もこれ仕事でやってるんだけど……内心じゃ結構迷ってたんだよ。
実はこれ、言うタイミングを逸してしまっていたんだけど、あの子の両親はもうこの世にいないんだ。
だからこっちに来ても……誰も待ってはいない」
ならどうして、とコウが問う前に話は続く。

「こっちじゃ下手人は捕らえられなかったしさ、せめて攫われた卵が……上手く孵化してくれていたら、
その子に故郷の地を踏ませてあげたかった。言ってしまえば単なる私のエゴ。心残りを片付けたかったんだ」
しんみりとした空気が漂う。

「あーやめやめ。湿っぽいのは私好きじゃないからさ。
あ、でもアレは言いすぎたな……我々の祖は殺し合いの果てに一旦は滅びの道を進んだ、ってやつ」
闘争の果てに世界を滅ぼしかけた“異界の竜”達は穏やかな気性の者達の一部を集め、荒廃した世界を後にした。
永き時を経て新天地へとたどり着いたが、世代を重ねる内に先祖返りをして荒々しい気性の者が度々生まれるようになった。
そんな世界さえ滅ぼしかねない存在をいつまでも手元においておくつもりかね?
……とコウに脅しをかけたのだ。

「僕はあの子を信じてるからね。一度たりとも疑ったことはないよ」
“異界の竜”は破顔一笑、晴れやかな顔を見せる。

「良いじゃない、私はそういうの好きだよ。にしてもやっとまた一人称が“僕”に戻ったね、それも好きだよ。
公的な話し合いの最中はずっと“私”だったでしょ?
……そういえばさ、君のこと結構タイプなんだけど……今度食事行かない?」
コウは鳩が豆鉄砲を食らって爆発四散すると同時、盆回しが流れて地球が滅亡したような顔をした。

「謹んでお断りしまーす。世界さえ滅ぼしかねない人はちょっと……」