RECORD

Eno.26 朔 初の記録

ふたつめ

朔初はクラスを眺めながら思っていた。
唐突に始まる自習。
生徒が生徒ならば先生も先生か。
教師としての仕事はしているので問題もないのだが。
教師とは、わからないことを噛み砕いて、詳しく教える職業を指すのだと思う。
だから、あきれているのではなく、まあそういう学校なのだろう。
不本意ながら。

朔初はこの学校に来るつもりは一切なかった。

受かった高校もここではなかった。
ちゃんと勉強して、行きたいところを定めて。
コツコツと学んだ頭は、確かに基準に達していた。
制服を買って、祖母や祖父に見せて、こっちへの引っ越しの準備を卒業までの間に進めて。
ここを訪れたその日に、あんなこと。
あんなことに巻き込まれて。
そんな理不尽なことはなかった。

のだから、不満はたらたらだった。
勉学に好きなだけ励めることは利点か。
各自が自由気ままにやっている、のを遠くから眺めているだけでいい。
あの集団とは関わらないほうがいい。

そも、人との馴れ合いを朔初は嫌っていた。
人と話すのが嫌い。
人と関わるのが嫌い。
そうは言っても関わらなければいけないところは関わるけど。
愛想笑いの下は、実に冷たかった。


下手なオリエンテーション。
下手な交流会。
そんなものがなくて、良かったと。

朔初は今日、思っている。