RECORD
Eno.450 百鬼 舞の記録
プロローグ④ 姉妹
※今回は百合要素が若干強いので、苦手な方はブラウザバックしていただければと思います。
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これは四月のとある日。舞の家に依緒が来て、少し経ってからのこと。
リビングに並んだテレビとゲーム機を前に、舞はにこやかな笑顔でコントローラーを手に取る。今日は父親が休日出勤の日。部屋には、静かにやわらかな陽が差し込んでいる。
舞「依緒、ふたりでゲームしない?」
と舞が笑顔で声をかける。
依緒「うん。いいよ。
何のゲーム?」
舞「これ。依緒、知ってる?」
舞が見せたのは、ちょっと前に流行った、サンドボックスゲーム。
依緒「知ってる。お姉ちゃんはやったことないけど。」
舞「依緒、やってくれないかな…?」
下から目線で、期待するような瞳。
依緒は断れなかった。
---
依緒「もうこんな時間。」
時計は6時半。お夕飯の準備だ。
依緒「ありがとう、今日は楽しかった。
舞は普段もこんな感じであそんでるの?」
舞「うん。他には戦略系のゲームとか…。
あとそれと…。」
依緒「それと?」
舞「笑わないでよ?」
依緒「うん。」
舞「…お人形遊び。」
舞は恥ずかしそうに話した。
依緒「お人形遊び…。ふふ」
舞「もう、笑わないでよ〜!」
依緒「ごめんなさいね。
でもどんなのか気になる。お夕飯とお風呂が終わったら、やってみましょう。」
本当に今日は楽しかった。
母を失った悲しみは、新しい家族と過ごす日々の中で、薄れてきていた。
舞にとって、こんなに仲良くなった人は人生で初めてだ。
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二人で分担して作った夕飯を食べて風呂に入った後。
依緒「じゃあお人形遊びしよっか。
どんな風にやるの?」
舞は嬉しそうにお人形を並べながら、言葉を紡ぐ。
舞「冒険のお話がやりたい。農村で幸せに暮らしていた義理の姉妹が、あるとき両親を魔王の手下に殺されてしまうの。でも、二人は約束するんだ。
『あなたは一人じゃない。』
『わたしたちならきっと魔王を倒せるよね。』
って。」
依緒は、舞から手渡された人形を手にしながら、静かに呟いた。
依緒「…いい話ね。」
二人は、それぞれお人形を動かしながら、物語を紡ぎ始める。
---
舞は妹の役を、お人形を使って演じる。
依緒は姉の役として、妹を守るように人形を動かす。
舞「わ、わたし、怖いよ。」
依緒「安心して。絶対にあなたを守るから。」
ふたりは、魔王の支配する荒れ果てた城へと向かう。
お人形の動きが進むにつれ、物語の中で二人の姉妹が試練を乗り越えていく様子が、現実の二人と少しずつ重なっていった。
舞は、人形を握る手をゆっくりと止める。ふと、彼女の瞳に翳りが差す。
舞「ねえ、家族って、失くしたら終わりなのかな…?」
その言葉は依緒の心に刺さる。
それは単なる物語のセリフではなく、舞がずっと心の奥に抱えていた問いだった。そして依緒自身も繰り返し問いかけたことのある言葉だった。
依緒「終わり……そう、終わりね。死んだものはもう取り返せない。
でも許されるなら、またもう一度あの頃の幸せな生活に戻りたい。」
舞は自分の人形をぎゅっと握りしめて、少し考える。そしてためらいがちに言葉を紡ぐ。
舞「……じゃあさ、わたしたち、姉妹にならない?一人でいるよりかはきっと、幸せに近づけると思う。」
舞の人形は依緒の人形に手を当てる。
依緒「いいの?」
舞「わたしも、お姉ちゃんが側にいてくれたら、一人じゃないから。」
舞の言葉に依緒はそっと微笑んだ。
彼女の人形は、舞の人形の手を取った。
魔王はまだ倒されていない。
物語の終わりは、まだ先にある。
---
結局、今日は途中までしか進められなかった。
依緒がトイレに行っている間、舞は静かにお人形を見つめる。
舞「わたしと依緒もこうだったらよかったのに…」
独り、夜の静寂の中。舞は呟いた。
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あとは寝るだけだ。灯を落とした柔らかなランプの下、二人は静かな時間を過ごしていた。
依緒「実は、私も母を亡くしたの。
舞、今ならあなたの気持ちがわかる。」
しかし、悲しい言葉とは裏腹に依緒は喜びに満ちた瞳で舞を見つめながら話す。
依緒「舞、本当にありがとう。
あなたには、助けられてる。」
舞「わたしもだよ、依緒。
ずっと仲良くしてね。」
依緒はそっと舞に寄り添った。
依緒「じゃあお姉ちゃんは寝るから。また、夢でね。」
依緒は部屋を後にしようとする。
舞「依緒、行かないで。
今日は、側に…いて。」
依緒「う、うん。…?」
舞「あ…。」
舞は自分の言ったことを後悔した。
一人で寝られないのか、と。
依緒「一人で寝られないんでしょ。」
舞「……うん、お母さんが行っちゃったみたいに、依緒もどこかに行っちゃうんじゃないかって。」
また夢で会えるというのに、二人は一つのベッドで横になる。
依緒「こんなの、変よね。」
舞「…やっぱり、変だよね…
他人なのに…。」
少しだけ、舞は勇気を振り絞る。
舞「………。
…じゃあ、姉妹にならない?」
姉妹でも、二人でベッドで寝るのだろうか?
依緒「うん………姉妹になろっか!」
舞「……依…依緒お姉ちゃん!!」
二人はすぐ仲良くなっていった。お互いの心を求めていった。
運命の巡り合わせで姉妹同然となった二人。これから、彼女らの未来は…。
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これは四月のとある日。舞の家に依緒が来て、少し経ってからのこと。
リビングに並んだテレビとゲーム機を前に、舞はにこやかな笑顔でコントローラーを手に取る。今日は父親が休日出勤の日。部屋には、静かにやわらかな陽が差し込んでいる。
舞「依緒、ふたりでゲームしない?」
と舞が笑顔で声をかける。
依緒「うん。いいよ。
何のゲーム?」
舞「これ。依緒、知ってる?」
舞が見せたのは、ちょっと前に流行った、サンドボックスゲーム。
依緒「知ってる。お姉ちゃんはやったことないけど。」
舞「依緒、やってくれないかな…?」
下から目線で、期待するような瞳。
依緒は断れなかった。
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依緒「もうこんな時間。」
時計は6時半。お夕飯の準備だ。
依緒「ありがとう、今日は楽しかった。
舞は普段もこんな感じであそんでるの?」
舞「うん。他には戦略系のゲームとか…。
あとそれと…。」
依緒「それと?」
舞「笑わないでよ?」
依緒「うん。」
舞「…お人形遊び。」
舞は恥ずかしそうに話した。
依緒「お人形遊び…。ふふ」
舞「もう、笑わないでよ〜!」
依緒「ごめんなさいね。
でもどんなのか気になる。お夕飯とお風呂が終わったら、やってみましょう。」
本当に今日は楽しかった。
母を失った悲しみは、新しい家族と過ごす日々の中で、薄れてきていた。
舞にとって、こんなに仲良くなった人は人生で初めてだ。
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二人で分担して作った夕飯を食べて風呂に入った後。
依緒「じゃあお人形遊びしよっか。
どんな風にやるの?」
舞は嬉しそうにお人形を並べながら、言葉を紡ぐ。
舞「冒険のお話がやりたい。農村で幸せに暮らしていた義理の姉妹が、あるとき両親を魔王の手下に殺されてしまうの。でも、二人は約束するんだ。
『あなたは一人じゃない。』
『わたしたちならきっと魔王を倒せるよね。』
って。」
依緒は、舞から手渡された人形を手にしながら、静かに呟いた。
依緒「…いい話ね。」
二人は、それぞれお人形を動かしながら、物語を紡ぎ始める。
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舞は妹の役を、お人形を使って演じる。
依緒は姉の役として、妹を守るように人形を動かす。
舞「わ、わたし、怖いよ。」
依緒「安心して。絶対にあなたを守るから。」
ふたりは、魔王の支配する荒れ果てた城へと向かう。
お人形の動きが進むにつれ、物語の中で二人の姉妹が試練を乗り越えていく様子が、現実の二人と少しずつ重なっていった。
舞は、人形を握る手をゆっくりと止める。ふと、彼女の瞳に翳りが差す。
舞「ねえ、家族って、失くしたら終わりなのかな…?」
その言葉は依緒の心に刺さる。
それは単なる物語のセリフではなく、舞がずっと心の奥に抱えていた問いだった。そして依緒自身も繰り返し問いかけたことのある言葉だった。
依緒「終わり……そう、終わりね。死んだものはもう取り返せない。
でも許されるなら、またもう一度あの頃の幸せな生活に戻りたい。」
舞は自分の人形をぎゅっと握りしめて、少し考える。そしてためらいがちに言葉を紡ぐ。
舞「……じゃあさ、わたしたち、姉妹にならない?一人でいるよりかはきっと、幸せに近づけると思う。」
舞の人形は依緒の人形に手を当てる。
依緒「いいの?」
舞「わたしも、お姉ちゃんが側にいてくれたら、一人じゃないから。」
舞の言葉に依緒はそっと微笑んだ。
彼女の人形は、舞の人形の手を取った。
魔王はまだ倒されていない。
物語の終わりは、まだ先にある。
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結局、今日は途中までしか進められなかった。
依緒がトイレに行っている間、舞は静かにお人形を見つめる。
舞「わたしと依緒もこうだったらよかったのに…」
独り、夜の静寂の中。舞は呟いた。
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あとは寝るだけだ。灯を落とした柔らかなランプの下、二人は静かな時間を過ごしていた。
依緒「実は、私も母を亡くしたの。
舞、今ならあなたの気持ちがわかる。」
しかし、悲しい言葉とは裏腹に依緒は喜びに満ちた瞳で舞を見つめながら話す。
依緒「舞、本当にありがとう。
あなたには、助けられてる。」
舞「わたしもだよ、依緒。
ずっと仲良くしてね。」
依緒はそっと舞に寄り添った。
依緒「じゃあお姉ちゃんは寝るから。また、夢でね。」
依緒は部屋を後にしようとする。
舞「依緒、行かないで。
今日は、側に…いて。」
依緒「う、うん。…?」
舞「あ…。」
舞は自分の言ったことを後悔した。
一人で寝られないのか、と。
依緒「一人で寝られないんでしょ。」
舞「……うん、お母さんが行っちゃったみたいに、依緒もどこかに行っちゃうんじゃないかって。」
また夢で会えるというのに、二人は一つのベッドで横になる。
依緒「こんなの、変よね。」
舞「…やっぱり、変だよね…
他人なのに…。」
少しだけ、舞は勇気を振り絞る。
舞「………。
…じゃあ、姉妹にならない?」
姉妹でも、二人でベッドで寝るのだろうか?
依緒「うん………姉妹になろっか!」
舞「……依…依緒お姉ちゃん!!」
二人はすぐ仲良くなっていった。お互いの心を求めていった。
運命の巡り合わせで姉妹同然となった二人。これから、彼女らの未来は…。