RECORD
Eno.450 百鬼 舞の記録
プロローグ③ 家族
百鬼夜行、それは不定期に起こる異変のようなものである。詳細なことはわからないが、おおまかに言えば、裏世界のごく一部が凶暴化した怪異の群れに襲われるというものだ。
そして、舞の父親は大刀を容赦なく切り付け、百鬼夜行の首魁を今倒そうとしている。敵は鬼。強大な金砕棒を持つこの鬼をなんとか追い詰めることができた。次の斬撃の一閃に、微かな悲鳴が夜風と共に広がる。
依緒「お母さん…」
その鬼の子は涙を堪えながら、薄暗い戦場の隅で震えていた。
依緒はただ悲しい目で、母がやられていくのを見つめることしかできなかった。
やがて大刀の刃が依緒の母を終わらせると、依緒の涙が静かに零れた。しとしとと降り始めた雨は、涙と区別がつかなかった。
依緒は舞の父親を見上げる。その瞳の奥にはどんな海よりも深い悲しみが宿っていた。憎しみは不思議と湧かなかった。仕方ないことだとわかっていたのかもしれない。
舞の父親「俺がやったことは、決して許されることではないのかもしれない。」
舞の父親はこの子を不憫に思った。
この子を育ててくれる人間など、いるだろうか。
舞の父親「…お前、うちに来ないか?
今日失ったものは取り戻せないが、新たな家族として、寄り添えるかもしれん。」
舞の父親は、親を失ったばかりの舞に重ね合わせるように、依緒にも同じ眼差しを向けた。親を失った悲しみ、耐えられない孤独を知っているからこその言葉だった。だが、彼を最もつき動かしたのは同情ではなく、彼女の居場所を壊したという責任感だった。
依緒は静かに頷くと、地面を向きながら舞の父親について行った。
なにか、運命の糸に導かれたのか。依緒は自らの母の仇の家に向かった。
---
玄関が開いた音がする。父親だろう。舞はリビングからかけていく。
舞「あ、お父さん、おかえり。」
しかし、そこには父親の他に依緒の姿があった。
依緒「お邪魔します…」
舞の父親「舞には紹介するのが遅れたね。
今日からうちに居候することになった、百鬼依緒(なぎり いお)さんだ。
うちの遠い親戚でな、大学に進学することになったから、こっちに来ることになったんだ。舞と同じ、双百合女学院だぞ。」
舞「依緒!」
依緒「これからよろしくね、舞。」
依緒は、ようやく少し微笑んだ。
そして、舞の父親は大刀を容赦なく切り付け、百鬼夜行の首魁を今倒そうとしている。敵は鬼。強大な金砕棒を持つこの鬼をなんとか追い詰めることができた。次の斬撃の一閃に、微かな悲鳴が夜風と共に広がる。
依緒「お母さん…」
その鬼の子は涙を堪えながら、薄暗い戦場の隅で震えていた。
依緒はただ悲しい目で、母がやられていくのを見つめることしかできなかった。
やがて大刀の刃が依緒の母を終わらせると、依緒の涙が静かに零れた。しとしとと降り始めた雨は、涙と区別がつかなかった。
依緒は舞の父親を見上げる。その瞳の奥にはどんな海よりも深い悲しみが宿っていた。憎しみは不思議と湧かなかった。仕方ないことだとわかっていたのかもしれない。
舞の父親「俺がやったことは、決して許されることではないのかもしれない。」
舞の父親はこの子を不憫に思った。
この子を育ててくれる人間など、いるだろうか。
舞の父親「…お前、うちに来ないか?
今日失ったものは取り戻せないが、新たな家族として、寄り添えるかもしれん。」
舞の父親は、親を失ったばかりの舞に重ね合わせるように、依緒にも同じ眼差しを向けた。親を失った悲しみ、耐えられない孤独を知っているからこその言葉だった。だが、彼を最もつき動かしたのは同情ではなく、彼女の居場所を壊したという責任感だった。
依緒は静かに頷くと、地面を向きながら舞の父親について行った。
なにか、運命の糸に導かれたのか。依緒は自らの母の仇の家に向かった。
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玄関が開いた音がする。父親だろう。舞はリビングからかけていく。
舞「あ、お父さん、おかえり。」
しかし、そこには父親の他に依緒の姿があった。
依緒「お邪魔します…」
舞の父親「舞には紹介するのが遅れたね。
今日からうちに居候することになった、百鬼依緒(なぎり いお)さんだ。
うちの遠い親戚でな、大学に進学することになったから、こっちに来ることになったんだ。舞と同じ、双百合女学院だぞ。」
舞「依緒!」
依緒「これからよろしくね、舞。」
依緒は、ようやく少し微笑んだ。