RECORD

Eno.32 不藤識の記録

record. 『裏帰り』

 百道山の廃れた神社にて起きた事件。
 犯人の名称は不明だが、黒井瞳の親戚が化けて出た怨霊の類だと想定される。本事件においては単独で犯行に及んでいる。
 被害者名は黒井瞳。呉院学院高等部に所属する学生であり、裏世界での活動経歴は無し。
 犯人の特徴としては、80代以降の老婆であり、全身黒づくめ。姿形は自由自在の様で、不定形の影を操ることができ、黒井瞳に化けることも可能。
 犯人の主張によると、犯行動機は黒井瞳を神への贄として捧げる予定が狂い、滅びてしまったことに対しての復讐とされている。
 黒井瞳はこの事を知らず、事件に巻き込まれた形となる。
 事件後の現場は後処理済みである。詳細は付記①に記載する。
 本事件に対する関係者の一覧は――



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 京介が纏めてくれた情報を基に報告書を作成して、寮へ帰る前に神秘管理局に提出する。
 別途、自身の神秘の使用履歴を更新するための報告も欠かさず。こちらは事前に申請していた通りなので問題なし。
 一通りの報告を終えたら、何やら騒がしい裏駐屯地を抜け出し、帰路に着く。

 落陽明松が主体となる実戦。
 高校に入ってからは初めてだ。
 昔は補助ありきだったが、今では問題なく制御もできている様子。
 内側から観察していたが、調子も良さそうだった。
 この身は落陽明松である・・・・・・・・・・・、と定義すれば、転移の連続使用が可能なのか。とても勉強になる。
 本来、落陽明松の形は不定形であるはず。
 とは、入れ替わる時の京介の言葉。
 老婆の脚を斬り捨てたあの一瞬で、全身に落陽明松を纏うのも中々面白い挙動だった。とても参考になる。

 あきらの無事ら確認できている。
 学生も舞坂先生が回収済み。
 万事解決でめでたしめでたし。





 して。
 俺は、アレを越えなければならないと。
 あの、落陽明松の化身を。

「そうあれと言われた訳じゃないけど」
「負けるのは、悔しいからね」