RECORD

Eno.896 百堂 巡の記録

d02.いわゆる日常というやつ


 食器の音。喋り声。合間から聞こえる若干大きな笑い声。
 塾とはまた異なる賑やかな音も、それは割と好んでいる。
 人から生まれた伝承であり、都市伝説であり、子どものために創り出された話であり。つまるところはある程度人間に寄り添って然るべきものであるのだから、本能としても当然の帰結である。
 ちらちらと飛び交う妙な単語。
 チラチラと交わされる「なんて?」と言いたげな視線。
 本能とか性質とかそういう高尚そうな話は完全に横へ置いておいても。しょっちゅうなんか突飛だったり面白そうだったりする色んな話が降って湧いてくるこの場所が、百堂巡は結構好きである。

 焚き火の音。羽音。四方八方の取り留めない会話。
 表とは異なる馴染み深い音は今日は普段にも増して賑やかだったと言うか、ブレーキ役がいなかったと言うか。いや前に訪れた時もこうだったような。
 何も考えずに話に飛び込める空間は大層有難いのだが。脊髄反射で発展していくすっとぼけた会話のツッコミ役をその内賜った方が良いのかもしれない、とセンドウさんは思案している。
 なお、すっとぼけた会話に飛び込んでボケ倒しきってる時点でそれは多分彼の役目ではない。

 全般、面白いものが好きなのである。この存在。

 n回目の人生を謳歌している市井に馴染みまくった怪奇の今日の夜は、気になる参考文献と精読した内容をざっくりまとめるためのノートとを相手取りながら明けていった。