RECORD
Eno.662 辰森 ユキの記録

そう言って“異界の竜”はユキに、にこりと笑ってみせた。

“異界の竜”の笑顔はほんの少し寂しげに陰ったが、その理由は秘めたままに。気を取り直して、問いに答える。

これは本心だ。改めて笑みを作り直す。明るく、軽薄に。

母──辰森コウの鉄拳が唸った。
ある日の会話2

「良いね、良い調子だ。力の流れは滞り無く、竜の心臓もきちんと動いてる。これなら私が帰った後も安心だ」
そう言って“異界の竜”はユキに、にこりと笑ってみせた。
「本当に、一緒に行かなくても良いのですか?お断りした手前、言えたことではないかも知れませんけれど……」
“異界の竜”の笑顔はほんの少し寂しげに陰ったが、その理由は秘めたままに。気を取り直して、問いに答える。

「私の仕事はね、究極的には同胞の幸せな暮らしの為にある。力の制御や、体の仕組みについて教えたのもそう。
そして、君がここに残って暮らすことが君の幸せならば、無理に連れ帰る事は私にとっても本意ではないんだよ」
これは本心だ。改めて笑みを作り直す。明るく、軽薄に。

「所で今夜、君のお母さんちょっと借りてもいいかな?できれば帰るまでの間に仲良くしておきたいんだけd」
母──辰森コウの鉄拳が唸った。