RECORD
Eno.225 葛山の記録

生きるべきか、死ぬべきか。
プラスでもマイナスでもなく、XY座標の0に居座り続ける人生を。
幾ら無意義とはいえ、進んで終わらせたい訳では全くなかった。
既に、もう。
どちらかと言えば、生きるべきなんだろうなあと思う。
生きる理由が多過ぎる。
︙
しなければならない。
じゃあ、どうするかって言うと。
いつも依頼でやってるみたいにバールのような物で殴って倒せばいいのか。
倒せる自信は全く無い。勝ち目が無い。
だって、僕は普通の人間だ。
それなら。
もっと冴えたやり方がある。
こいつを解明すればいいんだ。
表世界において、神秘は科学に否定される。
もう一度、完膚無き迄に、否定してやれば良い。
でも、これは流石に有意義過ぎる。
謎解きはもうしないって決めた筈だ。
じゃあどうする。
どうする?
退屈な日常を守る事こそが無意義なのだって事にしようか。
となると、追求してもいいのか。
解明してもいいのか。
そうかもしれない。仕方無い、これは仕方無いのだから。
じゃあさ。
僕の神秘の事も?
そうだよ。
多分、役に立つかもしれないから。
もう見当は付いてるんだ。自分の神秘がどういうものなのか。
後は実証するだけだ。
XY座標の0に居座り続ける為に

生きるべきか、死ぬべきか。
プラスでもマイナスでもなく、XY座標の0に居座り続ける人生を。
幾ら無意義とはいえ、進んで終わらせたい訳では全くなかった。
有意義な物が無い訳でもなかった。
既に、もう。
どちらかと言えば、生きるべきなんだろうなあと思う。
生きる理由が多過ぎる。
平穏な日常を継続したい。
>>1437067
「葛山くん。私ね」
「君が、好きだ」
もはや水底しずねという人間に、それを押し留める強さはなかった。
懺悔するようにどうにか口に出したその言葉は、もう戻らない。
全てが壊れて吸い込まれていくだろう。海の底へ、闇の向こう側へ。
……繋いでいた手をきゅっと握る。彼女にしては強い力をかけて。
まるで、あとほんの少しだけ側に居てくれと、声のない我儘を言うかのように 。
きっともう繋ぎ止めようもないものを、どうにかしてかき集めるかのように。
「だからね」
「……君には、私の平穏でいてほしい。恐怖に抗うための。
いつか本当に挫けてしまいそうな社会の壁に直面するとき、
結果がどうなろうと大丈夫だと、そう思えるような、
くだらない、適当な毎日を……過ごさせては、くれないかな」
君が自身の中に空虚を抱き続けるというのなら。
私はその一部を心の中に借りて、それを支えにしたい。
他は求めない。求めてはいけないと思う。
「だから」
「またクラゲ見にいこ。来年もこうやってお祭りを回ろ。
……それだけで。私はそれだけで、十分だから」
結局言いたいことなんて、あの水族館の日に全て言ってしまっていた。
一緒に遊びたい。しょうもないことをしたい。有意義と無意義の輪郭を近付けてその形を確かめたい。
変わらない。変わりようもない。変わってくれるなと願っている。
それは我儘だ。
そして祈りだった。
しなければならない。
じゃあ、どうするかって言うと。
いつも依頼でやってるみたいにバールのような物で殴って倒せばいいのか。
倒せる自信は全く無い。勝ち目が無い。
だって、僕は普通の人間だ。
それなら。
もっと冴えたやり方がある。
こいつを解明すればいいんだ。
表世界において、神秘は科学に否定される。
もう一度、完膚無き迄に、否定してやれば良い。
でも、これは流石に有意義過ぎる。
謎解きはもうしないって決めた筈だ。
最後の抵抗はやめたくない。
じゃあどうする。
どうする?
退屈な日常を守る事こそが無意義なのだって事にしようか。
となると、追求してもいいのか。
解明してもいいのか。
そうかもしれない。仕方無い、これは仕方無いのだから。
解明する事が許されている。
じゃあさ。
僕の神秘の事も?
そうだよ。
多分、役に立つかもしれないから。
もう見当は付いてるんだ。自分の神秘がどういうものなのか。
後は実証するだけだ。


