「可愛いって思うのも普通だよな」
実際に思っているかは別として、普通と言わなければいけない気がした。
RECORD
Eno.232 月影誠の記録
6/20~6/22
人を助けた。
知り合いを助けた。
クロがたまたま『帰るのならここからがいいだろう』なんて口にしたから。
だから、いつもと違う場所から表に帰った。
それだけのことだった。
如月の喫茶店の店長が倒れていた。
苦しんでいた。救急車を呼べと言われたから呼んだ。
だから、呼んで、胸を抑えて呻いたから心臓マッサージをして。
救急車で運ばれていく様を、眺めていた。
今回は血みどろではなかった。俺が手をかけたわけでもない。
けれど、あぁ、死にかけてるなぁと理解したら。
どうしようもなく楽しくなって、嬉しくなって。
このまま俺が首をきゅっと絞めたら、綺麗な姿で死んでくれるのだろうなぁと思って。
けれどそうはなりたくなくて。手を挙げたくなくて。出したくなくて。
殺したくて、殺したくて、美しくて、死にゆく命が、目の前にあって。
温度が失われていく。冷たくなっていく生命の愛らしいこと。
だけれどそれをただ眺めていることのできない哀れな自分!
怖くて、見殺しにすることが怖くて、自分が手を出すことに怯えて!
逃げてしまえば楽だったのに! 致命傷を与えることを恐れながら人を助けて!
人としてぶっ壊れた感性を持っておいて!!
中途半端に善性を手放せない愚かな自分!!
苦しんでいる人を放っておけないのが目の前にいる人間なら!!
自分は苦しんでる人を見て愉悦に浸るろくでなしだ!!
皆表面上の俺だけを見ている!!
皆優しい優しいって俺を評価する!!
その評価に縋りながら醜さを取り繕う哀れな獣風情で!!
獣に堕ちることを恐れて中途半端に人のままでいる!!
―― なぁ。もうとっくに分かってるくせに。
表には俺の居場所なんてどこにもないって。
︙
︙
金曜日にも失態した。
自分の狂暴性を抑えきれなくて、無意識に発露して。
最悪な趣味を暴露して。
︙
救えない!! 救えない!! 救えない!! 救えない!!
中途半端な施しなんて求めていない!!
思いっきり否定してくれよ!! 俺を!! なぁ!!
そしたら迷惑かけないうちに潔く消えられるからさあ!!!!



■■■■よ。
俺を救えるのは、お前だけだから。
こんなイカれた人間を、さっさと殺しておくれ。
知り合いを助けた。
クロがたまたま『帰るのならここからがいいだろう』なんて口にしたから。
だから、いつもと違う場所から表に帰った。
それだけのことだった。
如月の喫茶店の店長が倒れていた。
苦しんでいた。救急車を呼べと言われたから呼んだ。
だから、呼んで、胸を抑えて呻いたから心臓マッサージをして。
救急車で運ばれていく様を、眺めていた。
今回は血みどろではなかった。俺が手をかけたわけでもない。
けれど、あぁ、死にかけてるなぁと理解したら。
どうしようもなく楽しくなって、嬉しくなって。
このまま俺が首をきゅっと絞めたら、綺麗な姿で死んでくれるのだろうなぁと思って。
けれどそうはなりたくなくて。手を挙げたくなくて。出したくなくて。
殺したくて、殺したくて、美しくて、死にゆく命が、目の前にあって。
温度が失われていく。冷たくなっていく生命の愛らしいこと。
だけれどそれをただ眺めていることのできない哀れな自分!
怖くて、見殺しにすることが怖くて、自分が手を出すことに怯えて!
逃げてしまえば楽だったのに! 致命傷を与えることを恐れながら人を助けて!
人としてぶっ壊れた感性を持っておいて!!
中途半端に善性を手放せない愚かな自分!!
苦しんでいる人を放っておけないのが目の前にいる人間なら!!
自分は苦しんでる人を見て愉悦に浸るろくでなしだ!!
皆表面上の俺だけを見ている!!
皆優しい優しいって俺を評価する!!
その評価に縋りながら醜さを取り繕う哀れな獣風情で!!
獣に堕ちることを恐れて中途半端に人のままでいる!!
―― なぁ。もうとっくに分かってるくせに。
表には俺の居場所なんてどこにもないって。
「うわ」
どこかのニュースサイトを見て、猛暑のあまりにザリガニ達が死にまくってて、田んぼの水から流れようとびっしりと稲にたかっているザリガニ玉をみて戦いてる。
(Twitterでザリガニと検索すると見れるけど閲覧注意だよ…)
「うわぁ…」
「あ、ひばりもしかしてザリガニ死滅の写真見てる?
可愛いよねそれ」
「オタマジャクシとかカブトエビは案外大丈夫らしいよ。
ドジョウは死んでたって話見たな」
「でも死なれると釣れないので俺にとっては死活問題」
金曜日にも失態した。
自分の狂暴性を抑えきれなくて、無意識に発露して。
最悪な趣味を暴露して。
分かっていただろうに。こうなることくらい。
救えない!! 救えない!! 救えない!! 救えない!!
中途半端な施しなんて求めていない!!
思いっきり否定してくれよ!! 俺を!! なぁ!!
そしたら迷惑かけないうちに潔く消えられるからさあ!!!!

「―― 知ってるよ。教室の皆は優しいから。
俺が『裏』を選んだら、皆「そうか」の一言で止めないでいてくれる」

「……ねぇ、クロ。俺さ」

「お前の言ってた『契約』の話のその先のこと、
受け入れようと思うんだ」
■■■■よ。
俺を救えるのは、お前だけだから。
こんなイカれた人間を、さっさと殺しておくれ。







