RECORD

Eno.414 水貝 弥白の記録

してほしかったこと

怪奇が嫌いだ。人の生活をめちゃくちゃにして。

正直関わりたくもない。仕事の依頼がなかったら
近寄らないところばかりだった。

俺はここで腕試しをしたい奴らとか
怪奇と戦うことに血道を上げる奴らみたいにはなれない。

カレントコーポレーションの事務所でうっかりこぼしたら
得意なやつに任せればいいって言ってもらえて…少しほっとした。

だけど、依頼の品を持ち帰るため裏世界を探索していると
怪奇と戦っているその人を見つけたんだ。一人で、怪奇に囲まれて。

俺は戦いが得意じゃないし、誰かを呼んできたってよかった。
でも、あの日怪奇たちになぶられていた一人ぼっちの俺は

誰かに来てほしかった。

助けを求める声が虚しく響くのが辛いって知ってるから。

その時の自分と重なる場面に、足を踏み入れている。
俺は俺がしてほしかったことをいま、他人にやってる。

戦ってみる気になったのかとたずねられた。
依頼だからとか、見て見ぬふりもなんだかとか
それっぽい理由を言ったけど、
昔の自分のためとは恥ずかしくて言えなかった。

難儀な性格をしてるなって言われたし、俺もそう思う。
これで、あの時の自分が救われるわけじゃないのにな。