RECORD
Eno.176 都筑 明日汰の記録
4.追いかける理由
粒子加速器を意味する『コライダー』を語源とした、フィクションにしか存在しない筈の兵器。
俺の愛好する往年の名作ロボットアニメ、『魔神ロボ』に於いてもそれは主役機の頼れる兵装として幾度となく怪獣を打ち破ってきたものだった。
しかしながらそれは、現代科学において紛れもなく存在しないものだ。
それはつまり、これまでの飛ぶ拳や超振動剣とは大きく事情が違うという事に他ならない。
何せ元とするものすら、皆目見当もつかないのだから。

高圧放電器の仕組み自体はCW回路を用いて実現することは出来るだろう。
しかしそれは理想の形には程遠い。
憧れの魔神ロボの――そして俺様の夢の結晶であるロボタの武器としてのコレダーを謳うのならば、
やはりその雷電を拳に込めてこそだろう。
そうして辿り着いたのが、加えられた力を電圧へと変換する圧電素子というものだった。

そうして、俺様は第三の未来発明に着手する。
思えば先日に未来から届いたレギュレータは、このためにこそあったのだ。
圧電素子の発電量の少なさを補い、制御を可能とするための最後のピース――
こうして俺はまた一つ、発明家としての階段を一足飛びに駆け上がるのだった。
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眠い目をこすって、『アメチャンホンポ』の飴を口の中で転がしながら、作業に没頭して、没頭して、没頭する。
小腹が空けば、更に未来の菓子に手をつけた。これは5月の頭くらいに送られてきたものだったか。
林檎味のグミ。俺は林檎よりも桃の方が好きなのだが、そうも言っていられない。
常にロボタのパーツで懐事情を圧迫されている俺にとって、たとえ未来から送られてきた得体の知れない菓子であろうが食料は食料なのだ。
プリンは流石にすぐに食べたが、日持ちのよさそうなものはこうして発明のお供にしていた。

夜更かしの度に飛んでくる、翌朝の幼馴染の御小言を――今だけは意識の外に投げ捨てる。
きっとお前は知ることはないだろう。俺が寝る間も惜しんで発明に没頭しているのは、
それ自体が楽しくて仕方ないのも勿論だが。

だからこそ、一層に質が悪い。
悪意もなければ敵意もなく、後を追うようについてきて、いつもお前が先を行く。
そんなお前を妬んで仕方ない自分が、何よりも嫌だった。

お前には渡してやらない。
奪おうとすらしていないお前に向けてこんな言葉が浮かんでしまう自分に、自己嫌悪をしながら――
それを振り払うように、再びはんだを走らせるのだった。
俺の愛好する往年の名作ロボットアニメ、『魔神ロボ』に於いてもそれは主役機の頼れる兵装として幾度となく怪獣を打ち破ってきたものだった。
しかしながらそれは、現代科学において紛れもなく存在しないものだ。
それはつまり、これまでの飛ぶ拳や超振動剣とは大きく事情が違うという事に他ならない。
何せ元とするものすら、皆目見当もつかないのだから。

「……だが、未来発明を名乗るのならば、『高圧放電器』は外せまい――」
高圧放電器の仕組み自体はCW回路を用いて実現することは出来るだろう。
しかしそれは理想の形には程遠い。
憧れの魔神ロボの――そして俺様の夢の結晶であるロボタの武器としてのコレダーを謳うのならば、
やはりその雷電を拳に込めてこそだろう。
そうして辿り着いたのが、加えられた力を電圧へと変換する圧電素子というものだった。

「これだ! これこそ俺様が求めていた理想の原型ッ!」
そうして、俺様は第三の未来発明に着手する。
思えば先日に未来から届いたレギュレータは、このためにこそあったのだ。
圧電素子の発電量の少なさを補い、制御を可能とするための最後のピース――
こうして俺はまた一つ、発明家としての階段を一足飛びに駆け上がるのだった。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
眠い目をこすって、『アメチャンホンポ』の飴を口の中で転がしながら、作業に没頭して、没頭して、没頭する。
小腹が空けば、更に未来の菓子に手をつけた。これは5月の頭くらいに送られてきたものだったか。
林檎味のグミ。俺は林檎よりも桃の方が好きなのだが、そうも言っていられない。
常にロボタのパーツで懐事情を圧迫されている俺にとって、たとえ未来から送られてきた得体の知れない菓子であろうが食料は食料なのだ。
プリンは流石にすぐに食べたが、日持ちのよさそうなものはこうして発明のお供にしていた。

「こんなにも楽しいんだ。やはり夜更かしなど気にしてはいられん」
夜更かしの度に飛んでくる、翌朝の幼馴染の御小言を――今だけは意識の外に投げ捨てる。
きっとお前は知ることはないだろう。俺が寝る間も惜しんで発明に没頭しているのは、
それ自体が楽しくて仕方ないのも勿論だが。

「何よりも、お前を追い抜く為なんだ。
そう言ってもきっとお前は、自分のほうが優れているとは認めないのだろうが 」
だからこそ、一層に質が悪い。
悪意もなければ敵意もなく、後を追うようについてきて、いつもお前が先を行く。
そんなお前を妬んで仕方ない自分が、何よりも嫌だった。

「今度ばかりはお前の力は借りないぞ、キミノ。
この発明は、未来発明だけは――」
お前には渡してやらない。
奪おうとすらしていないお前に向けてこんな言葉が浮かんでしまう自分に、自己嫌悪をしながら――
それを振り払うように、再びはんだを走らせるのだった。