RECORD

Eno.32 不藤識の記録

record. 『inescapable fate』

『素行不良の怪奇がいるなら、矯正目的で参加しないこともないです』

 そんな文言を返したら、まさか本当にGOサインが出るとは思っていなくて。
 実際に、新星チーム側で参加することになってしまったけど。
 初戦が始まった段階で、既に参加したことを後悔している。

 同級生たちが楽しそうに観戦しているのを見て、心が荒ぶ。
 攻介があきらを誘ったことも、それを受けて楽しそうにしているのも。
 子供が戦う世界がどうの、という話し声も聞こえて。
 野次が耳に残る。響き渡る声が煩わしい。

 生命を殺す術を、見世物にして。
 自分が教えの通りに封じてきたものを、平気で人に向けて。
 それを、その場にいる皆が楽しむように眺めている。
 厳格なルールを定めた表のスポーツではなく。
 ほぼバーリトゥード。いつ効果を失くすかわからない保険。
 その薄氷の上で戦うのは、酷く恐ろしいことだと思う。

 俺の生きた地獄は都合良く、現実から目を逸らしながら消化されていく。
 表裏の共存、という観点では許されるべきことなのかもしれない。
 こうして目に触れる位置に置くことで、危険分子を監視しているのかもしれないし。
 神秘を消化・・させる目的もあるのかもしれない。
 人の悪性を収める役割も担っているのかもしれない。
 きっと、その存在にはいろんな理由があるのだろう。
 けれど。

「俺……なんのために、ここにいるんだろう」


 今はどうしても、息が詰まる。