RECORD

Eno.182 ■■ ■一の記録

神秘管理局 研究課 検死班

研究課内所属希望者向けガイダンスの音声データより

裏世界、神秘、怪奇。
本来表世界にはないこれらに適応できぬまま終わる者は0ではない。
衛生課や治療で復帰可能な一線を越えて生体が物体へと変じたその時、我々の仕事は始まる。

当班の本義は「生命を終わらせた要因から神秘的事象の有無を探り、その解明や対応策を練ることで今後の被害を軽減すること」ただ一つ。
採取されたデータは主に課内と衛生課に回され、神秘解明や治療術進展への活用が為されている。

はじめに言っておく。当班の業務は多くが光の当たらぬ場所にある。
敵性怪奇存在との戦闘も、フィールドワークもない。何かが起きないよう予防する側面もない。
あるのはただ起きてしまった「死」を今後に生かすことのみだ。

ここで言う「死」とはなにも人間……表の一般市民に限った話ではない。
例えば強大な敵性怪奇との戦闘などで命を落とした討伐チームのメンバー、あるいは討伐された怪奇存在なども含む。
全ての死を検め、神秘管理局の未来に尽くす。それこそが検死班の業務に他ならない…

検死班マニュアル「業務手順概要」より

原則として表世界での検死と手順は同一である。
以下3段階に分かれ、段階が進むごとに担当者は絞られる。

検視
    死亡者及び現場を調査し、神秘関与の有無を確認する。

検案 ※医療知識保有者に限る
    死因などを特定し、既存の神秘事案に類似例がないか照合する。

解剖 ※有資格者に限る
    未知要素の解明進展に寄与する前提で実施。希望の有資格者は必ず事前に研修を受けること。



班員の証言

「正直、あるとは知っていても話題に触れない人が多いんじゃないでしょうか。
 内容が内容ですし仕方ないのですが、若干寂しくはありますね。
 でもなければならない仕事ですし、それなりに覚悟や誇りは持ってやってますよ」


「警戒すべきは対策課、次点で衛生課だ。
 業務上関与する機会も多いが、その分対象を隠蔽させる事案も少なくない。
 我々なりに敬意は払っているつもりなのだが、未だ偏見は根深いようだ」


「なにもなければ雑務や手伝いの時間も多いよ、でもそればかりとはいかないね。
 怪奇存在の身体構造分析とかは予備知識として求められるし。
 楽しくはあるよ? でも人間相手はちょっと……来る、かな」