RECORD

Eno.230 田中 二郎の記録

佐武の記録4

神秘率は時折変動するが、概ね90.0%以上のまま。
田中二郎に目立った変化は無い。
僕も体調が良好であること以外に変化は無さそうだ。

──

以前、田中二郎に「何故ここまで面倒を見てくれるのか(意訳)」と問われた。
僕からは「借りがあるから」とだけ返した。
知りたければ両親にでも聞けば良い、と。
しかし先輩達はどうやら「個人的な事だから、自分達が話すべきではない」と倅に伝えたらしい。

「だから《知識の潜海者サブマリン》が教えても良いと思うまで、俺は待とうと思う。」


一生教えないでおこうと思う。

親が親なら子も子だ。

大学時代にお高い機械を壊してどうバックレるか考えていたら、先輩が色々取り持ってくれた。
しかもその翌月「先輩がうっかり壊した」ことになっていたと知った。
壊した時期が時期だったから、本来ならば僕に相当なヘイトが向いていただろう。
けれど、だからといって庇う必要はあったか?先輩が他の人間にわざわざ謝る必要はあったか?
今もわからない。
多分僕には一生理解できない。

ただ

──

「……これ関係なくない?」


ぐっとバックスペースキーを押し込む。
つらつらと並べられた文字列は、たった一本の縦線に飲み込まれて消えた。