RECORD

Eno.382 フルルーナ・ワイズマンの記録

『蛹』


「それらは概ね羽根つき頭を振り回して」
「貴方の行いを問い詰めてくることでしょう」
「『どこにいるの?』『どこにいったの?』『どこに?』とくるくるくるくるくるくる―――」
「おかえりなさい」



6年前

ママがいなくなった。

パパはママと喧嘩して、ママがどこかに行ってしまった。
私は毎日悲しくて、パパのことを酷く言ってしまった。
パパは悲しそうな顔で「ママはすぐ帰って来るよ」と私を抱きしめた。

10歳になって、グルンドシューレから卒業した。
私は教室に馴染めなかったから、クラスメイトの顔を知らないままの卒業だった。
進学はしなかった。進路を決められなかった。
そんな私のわがままを、パパとママは聞いてくれた。
「フルルーナには時間が必要なのよ、ゆっくり決めていいからね」
「大丈夫、パパも一緒に考えるから」

それから1年間、私はパパとママと一緒にいろんな物を見た。
どんな大人になりたいのか、どんな生活をしたいのか。
わからないビジョンを明確にするために、色んなところに行った。

でも。

私は。

鏡と月と、その先の世界にしか興味が持てなくなっていた。