RECORD

Eno.26 朔 初の記録

さんじゅーよん

[武蔵野メディアパーク][北摩総合病院]
れいじ [Eno.26] 2025-07-06 18:29:41 No.3258570

妻の容体について、平日。先日も聞いたことであるが。
孫娘と並んで聞いていた。
まあ、大体は事前に聞いていた通りだった。
もっと早く見つけられればよかった、が感想だった。
見たかってから数ヶ月が経過していた。

つまりは、悪かった。


「………」

空気が重い。と、祖父は感じていた。
まあ、仕方のないことだった。
倒れ込んだ時点でよろしくなかった。

浮腫んだ躰と細った腕を見た。
何度も見ていたが、未だになれん。
会うたびにそれが深まるようだった。
見るに堪えんが、仕方のないことだった。

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[武蔵野メディアパーク][北摩総合病院]
はつ [Eno.26] 2025-07-06 18:33:54 No.3259032

「………………」

孫も同席していた。
家に置いてかれるはずだった。
お見舞いしてるんだから着いていく権利があった。
話を聞いた。

大体想像する通りだった。
自分の知っている祖母といえば、明るくて優しい人だったと思う。
父親に似てた。と。思う。
でも人を見る目はなかったのだとも思った。
正直なことを言うと、母方の祖父母はあまりよろしくなかった。
いや、仕方なかったのだけども。
性格がよろしくないのも確かだった。

隣にいる人を伴侶としたのもどうだったのだろう。
いや、祖父も仕方がない人だった。
悲しいことがあった人だった。
無口な人だった。



「……………」

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[武蔵野メディアパーク][北摩総合病院]
はつ [Eno.26] 2025-07-06 18:38:59 No.3259611

夏の夕暮れの空気は、どことなく涼やかだった。
こんなにもまだ昼間の熱気と、季節特有の空気の湿度が後を引いて残されているのに。
生ぬるい風が頬を撫でれれば、涼しいと錯覚するようだった。
先ほどまでいた病院の院内が涼しかったからかもしれない。
冷房。
クーラー。
無駄遣い。






「………」


「……ばーちゃん、夏まで持つといいな」




諦め。
それしかいえない。
希望はなく、ただ、現実があるだけだった。
涼しいなんて幻覚を見たって、現に体は日に当てられて汗をかくように。




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[武蔵野メディアパーク][北摩総合病院]
れいじ [Eno.26] 2025-07-06 19:26:31 No.3264417


「………」

「ああ」

諦め。
それしかいえない。
長生きして欲しい気持ちはあるが、ああなってしまえば。
早い方が、とは思うところも、少しだけは。
その方が苦しまずに済むのではないか。
その方が。


月並みなことだが、あいつによくしてやれただろうか、とは変わらず思いながら。


「……」

「帰るか」

そうやって、2人。
会話もほとんどない。

駅へ。

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