RECORD
さんじゅーよん
妻の容体について、平日。先日も聞いたことであるが。
孫娘と並んで聞いていた。
まあ、大体は事前に聞いていた通りだった。
もっと早く見つけられればよかった、が感想だった。
見たかってから数ヶ月が経過していた。
つまりは、悪かった。
「………」
空気が重い。と、祖父は感じていた。
まあ、仕方のないことだった。
倒れ込んだ時点でよろしくなかった。
浮腫んだ躰と細った腕を見た。
何度も見ていたが、未だになれん。
会うたびにそれが深まるようだった。
見るに堪えんが、仕方のないことだった。
「………………」
孫も同席していた。
家に置いてかれるはずだった。
お見舞いしてるんだから着いていく権利があった。
話を聞いた。
大体想像する通りだった。
自分の知っている祖母といえば、明るくて優しい人だったと思う。
父親に似てた。と。思う。
でも人を見る目はなかったのだとも思った。
正直なことを言うと、母方の祖父母はあまりよろしくなかった。
いや、仕方なかったのだけども。
性格がよろしくないのも確かだった。
隣にいる人を伴侶としたのもどうだったのだろう。
いや、祖父も仕方がない人だった。
悲しいことがあった人だった。
無口な人だった。
「……………」
夏の夕暮れの空気は、どことなく涼やかだった。
こんなにもまだ昼間の熱気と、季節特有の空気の湿度が後を引いて残されているのに。
生ぬるい風が頬を撫でれれば、涼しいと錯覚するようだった。
先ほどまでいた病院の院内が涼しかったからかもしれない。
冷房。
クーラー。
無駄遣い。
「………」
「……ばーちゃん、夏まで持つといいな」
諦め。
それしかいえない。
希望はなく、ただ、現実があるだけだった。
涼しいなんて幻覚を見たって、現に体は日に当てられて汗をかくように。


