RECORD

Eno.77 磯向井 利慕の記録

❖回顧録

 ■■だった父親に、近付きたかった。
 海に行きたかった。船に乗ってみたかった。
 俺を残して、遠ざかって消える存在が腹立たしかった。
 船に乗れる機会はおいそれとない。逃したら、逃したら?

 良い訳があるかよ。また『アレ』が見えたらどうするんだ。
 大ハズレくじだったら、どうするんだ。


「………確定には、ならない。はず」


「海じゃないから」



「リシタ君のパパは、海に消えてしまったんだよ」


「リシタ君のお父さんは、お空に居て見守ってくれてるんだよ」


 何処にも居ない。
 少なくとも、空にはいなかった。

「だから……」



 船に乗って、同じ目線を見てみたい。