RECORD

Eno.344 本田健斗の記録

もう取り返しのつかない話

遥か昔からの人類の夢、神秘が満ちていた頃でもきっと簡単には手に入らなかったであろう夢、現代でも誰かがきっと求める夢。
そんな夢を背負わされて人を辞めてしまった出来の良い失敗作が世界の裏側に逃げた後に長い時を経て一人の神秘使いに恋をしただけの話のはずでした。

失敗作が表に戻ったその後に二人の子供に少しだけ神秘が受け継がれました。けれど時代の流れと共に神秘が薄れていき、人間であった神秘使いは当然として長い時を生きた失敗作ですら人として死んでいったものですからそれ以降は受け継がれずにその神秘達は全て消えていったはずでした。

けれど再び神秘が少しだけ世界に満ち始めたその時に一人の子供が先祖帰りを起こしてしまい不完全に、しかし人からは明らかに離れてしまう程度には神秘は受け継がれてしまったのです。
ですがその子は余りにも受け継いだようには見えない程に病弱な子供だったものだから子孫達もそして神秘を管理する機関も彼を見てかつての神秘は既に完全に世界から消えたものだと勝手に誰もが思い込んでしまい……

あの日までその事に誰にも気づかずに、ついに受け継がれた神秘が目覚めてしまったのです。
受け継がれた神秘は失敗作よりも不完全なものだったのですが神秘使いからも受け継いだ神秘によって本来とは違う使い方が出来てしまったので本来なら誰かを傷つける筈の無かった神秘によって多くの人を巻き込んでしまい……それが彼の罪となったのです。

これが罪人となってしまった彼もまだ知らない遥か昔から始まったあの日の事件に続くまでの話なのです。