RECORD

Eno.623 飯田飯太の記録

神秘率100%

「あはは、出来た!殺せた!私の勝ちだ!!!これで私を邪魔するものは消え去った。あとは、あの小僧の精神を殺し、肉体を得る。それだけで私は、世界を支配できる!!!!」


飯太と瓜二つの顔が、制服の少女の亡骸を足蹴にしながら高笑っている。

その名はとうに無い。その昔、飯太の内に巣食い、力を簒奪しようと画策し失敗したもの。
姿を変え、声を変え、名を変え、立場を変えて、雌伏の時を過ごした。

そして今、最大の障壁であった飯太の精神を守るモノを破壊し、足蹴にした。

「あの小僧をただ殺すのも芸は無い、自分の手で自分の敵を強くして、自分を守ってくれていた存在を殺させたと知ったらどんな顔で喚いてくれるだろうか?楽しみだなぁ!」



足蹴にしていた亡骸を蹴り飛ばそうと、足を上げたその時。

軸足が根元から切断される。
混乱しながらも咄嗟に伸ばした右腕がズレて飛んでいく。
左腕を動かそうとするがもう無い。
残った脚も同様だ。

「何が…何が起きている…!!!!!!!」



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周囲を見渡そうとした頭を踏み潰す。

「何も囀らなくていい。我は全てを知っている。貴様の正体も、我の過ちも、彼女の事も。ゆえに貴様はここで滅する。」



あの日の俺が強ければ、それからの俺が賢ければ、こいつをもっと早く滅することが出来たかもしれない。そんな感傷に浸りながら、能力を開放する。

消えよ滅せよ



その一言で、足元のソレは消え去った。

「ごめんなさい。あの日、貴女を巻き込んでしまって。貴女の事を、今も思い出せなくて。」



足元に横たわる少女の亡骸に跪いて懺悔する。

記憶を思い出したわけではない、神の言語を使ってアイツから神の言語の権限を奪取。
そして、あいつの思惑を知って殺しただけだ。


俺は何も知らない、思い出せない。思い出したくもない。
失った物なんて、数えたくもない。

欲しいモノだけ。手にした物だけ、この手に抱えておきたい。


ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
貴女に責められるのが怖くて、蘇生する勇気も出ません。



知らない貴女過去より、欲しい未来先輩を選んでごめんなさい。