RECORD

Eno.26 朔 初の記録

CASE:16


──あの子と過ごす時間が減っていった。

というのも部活内だけの話なんだけども。
教室にいるなら普通に話す。
相変わらず、3人で集まって過ごしていた。
たわいのないこと、噂話、なんだって、なんでも。
時折けらけら笑いながら話す様子は、どこからどう見てもなかよしのそれだったことだろう。

部活では違っていた。

「朔さんこっちきて〜」

なんて、毎日のようにあの子は呼び出されていた。
一年生の集団から抜け出すように。
引っ張られるように。
あの子は抜けて行っていた。

何せ、三年生が抜けた今、室内練習の場所が借りられるのであれば、二年生の独壇場だった。
やっぱり、上が変われば方針も多少変わるようだった。
加えて、未経験者の先生が顧問なものだから、頼り甲斐のない。
部活は二年生のものだった。

ラケットの素振りは外で行われるようになった不満も合わせて、一人だけ呼び出されるあの子。
と、なれば、特別扱いはひどく目を引いて、嫌な方向に話が立つ。

「あの子だけ先輩に呼び出されてるんだって。なんで?」
「あの子3年のオキニだったから、2年も引き継いでんじゃねえの」
「えー。でも3年生の先輩がいたとき2年の先輩たちそんなそぶり見せなかったじゃん」
「そうなんだよね、だから全然わかんねえや」
「でもいいなあ、あの子だけ」
「だよなあ、あの子だけ」


「………」
「…なーんか、さ。やな空気だな…」
「そうだね…」

そう、だね。
私には縦に頷く他なかった。

本当に。本当に。
それだけだった。
言い切れなかった。
後ろめたかった。