RECORD

Eno.60 千夜 理央の記録

近況報告

上京した時はただ我武者羅に将来に向かって一直線であった。
それが俺にとっての最善であり人生にとってのベストであると思ったから。
実際学んでいる事は無駄ではなく、将来の夢も変わっていない。
俺が北摩に上京したことは間違いなく人生設計のプラスになっているだろう。


だが。
裏世界の存在が、神秘が。
俺自身も少しずつではあるが変えていっているように思える。


最初は本来の勉強時間を削る任務が、神秘の授業が疎ましくて仕方なかった。
持った以上はと市の要請を受け戦場を駆けていたに過ぎない。

だが今はどうだ。
しっかりと連携を取り、より効率的にかつより仲間へ貢献できるよう神秘を扱わねばと考える日々。
本来の授業もしっかりと学びつつ、神秘の科目もしっかりと学び身に着けた科目も研鑽している。
主に後方にて仲間を支えるために。…いつかは、俺も前線で殲滅を請け負う日が来るのだろうか?


そして表世界及び裏世界、そして両を知る者を通じ。
俺自身が変化してきているのを感じる。

俺は人を見守る立場だと思っていた。
何事も事勿れが良いと思っていた。
真面目で温和で堅物が自他の評価であった。
そこそこ平等に物を見れていると思っていた。

全然見守られる立場でもあった。
競い合い高め合う…競技が好きだった自分を思い出した。
不真面目で短気で阿呆な一面があることも知れた。
実際の物差しは大分偏っているようにも思う。


ライバル、と言う存在が欲しいと方々を見て思うようになった。
いつか俺にもそういう存在が生まれるのであろうか?全くもって分からないが。

かけがえのない大事な存在が出来た。
俺にはもう芽生えないと思っていた感情を目覚めさせてくれた存在を。
いつか必ず来る『別れ』の日まで大切に、ただ守りたい。


このような変化に怖くもあり、20歳にしてなお人は変われるのだなと感心もする。
盆には山梨の実家に帰郷する予定ではある、切符はすでに取った。
諸々近況報告が楽しみだ。
ひょっとしたら纏っている雰囲気が既に違っているのかもしれないと考えながら。