RECORD
Eno.662 辰森 ユキの記録
いつかの日記1
私は欠けている。
喜びも怒りも哀しみも楽しさも、物を見て美しいと思うことさえも。
先生はとにかく色々なものを見て、経験するのが良いという。
思えば、勉強の合間に色々なものを見た……と言っても、モニター越しだけれど。
風に揺れる木々。
青い海から押し寄せる白波と白い砂浜。
なにかとろりとした黄色いものが湯気を立てる丼。
勇ましき英雄たちと、敵ながら時に肩を並べ戦う高潔な武人の物語。
それらはただ、情報として私の中に集積されている。
手触りのない無味無臭のそれらが私の心を揺らすことはなかったけれど……
差し当たって……何か、心の動く何かを探しに行こうと思う。
喜びも怒りも哀しみも楽しさも、物を見て美しいと思うことさえも。
先生はとにかく色々なものを見て、経験するのが良いという。
思えば、勉強の合間に色々なものを見た……と言っても、モニター越しだけれど。
風に揺れる木々。
青い海から押し寄せる白波と白い砂浜。
なにかとろりとした黄色いものが湯気を立てる丼。
勇ましき英雄たちと、敵ながら時に肩を並べ戦う高潔な武人の物語。
それらはただ、情報として私の中に集積されている。
手触りのない無味無臭のそれらが私の心を揺らすことはなかったけれど……
差し当たって……何か、心の動く何かを探しに行こうと思う。