RECORD
Eno.96 加瀬秋日佐の記録
窓辺に吊った風鈴が鳴る。
魔除けにもなるらしいその音は己にも優しく心地好い。
だから。まだ己は化物ではないと、そう思える。さあ、そうだろうか。
目を閉じて、その音色に耳を傾けていた。
きっと、己の咎を知っている。
少なくとも己の心より存分に。
元より寄り添うことは得意では無かった。
あらゆるを暴き、覗く己の瞳は真っ黒で。
そこに在るのはあまねく知るためのもの。
倫理の円の中には己さえも入らなかった。
全てが等しく、同じ線上に並んでいる。
同じく価値があり、同じく美味そうで。
己がこんなものだなんて知らなかった。
これは愚かな言い訳になるのだろうか。
なればこそ、今抱えるこれを己も掴めなければ誰にも伝わらない。
全てと等しくないそれが己に在るようには多分見えないのだろう。
それを飛び出せばそりゃあ加減など分からない。
元よりこの手は暴くばかりのもの。
触れれば壊し、変えて、それはグラデーションの己のいずれもそうで。
それなのに。止められない。
己の咎を知っている。
暴けども慈しめどもその結果は変わらないのではないか。
それなのにかなしくてかなしくて仕方がない。
笑ってくれると、嬉しい。
どうか足掻かせてくれ。
咎であることを知っているけれど。
何処に向いても一歩間違えれば落ちるだろう暗闇を見て。

7月第3週
窓辺に吊った風鈴が鳴る。
魔除けにもなるらしいその音は己にも優しく心地好い。
だから。まだ己は化物ではないと、そう思える。さあ、そうだろうか。
目を閉じて、その音色に耳を傾けていた。
きっと、己の咎を知っている。
少なくとも己の心より存分に。
元より寄り添うことは得意では無かった。
あらゆるを暴き、覗く己の瞳は真っ黒で。
そこに在るのはあまねく知るためのもの。
倫理の円の中には己さえも入らなかった。
全てが等しく、同じ線上に並んでいる。
同じく価値があり、同じく美味そうで。
己がこんなものだなんて知らなかった。
これは愚かな言い訳になるのだろうか。
なればこそ、今抱えるこれを己も掴めなければ誰にも伝わらない。
全てと等しくないそれが己に在るようには多分見えないのだろう。
それを飛び出せばそりゃあ加減など分からない。
元よりこの手は暴くばかりのもの。
触れれば壊し、変えて、それはグラデーションの己のいずれもそうで。
それなのに。止められない。
己の咎を知っている。
暴けども慈しめどもその結果は変わらないのではないか。
それなのにかなしくてかなしくて仕方がない。
笑ってくれると、嬉しい。
どうか足掻かせてくれ。
咎であることを知っているけれど。
何処に向いても一歩間違えれば落ちるだろう暗闇を見て。
ころん