RECORD

Eno.357 李 莱姆の記録

𝗟𝗜𝗦𝗧 𝗡𝗼:𝟬𝟳


「李くんは違うんだね?」



 頑なに、裏世界を遠ざけようとする言葉に違和感を覚えて、
 ただの会話作りのために尋ねてみた。



「艾ちゃんは、裏世界に属する存在たちのことが嫌い?」




 本当に。

 それ以上でも、以下でもない。




 だから、問い掛けたものがそのまま──
 それも、異なる立場のものとして──
 帰ってきて、思わず、思考を止めた。





[アミューズタチカワ][【裏】駅前繁華街:常闇通り]
芟花艾 [Eno.106] 2025-06-09 18:22:04 No.1481113

>>1479370
「棲み分けが出来るならいい。
 こうして交わってしまう場所があるのが危険だと思う」

「ここに馴染んでしまう人間が出て来たり
 怪奇と距離がちかくなってしまうと、
 きっと現代じゃ生きづらい」

未知への恐れだ。だから敵視する。
科学で廃れてくれるものならそれでいいと思う。
現実おもてを生きるなら、関りなんて本当はいらないんだ。

「李くんは違うんだね?」

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[アミューズタチカワ][【裏】駅前繁華街:常闇通り]
ライム [Eno.357] 2025-06-09 21:19:06 No.1504231

>>1481113
「なるほどねぇ。少なくとも、
 現代社会で推奨できる生き方ではないよね」

 現代ではなくとも──
 およそ、違う法則・理の中で生きる物だ。
 無理に互いへ干渉したところで、良いことになるとは限らない。
 そうした物語なら、表世界にだっていくらか残っている。

 知らないものは、いつだって怖い。

「うん? ん~、そういうわけではないけれど」

 返って来た自分の問いに、目を瞬く。

 何事か考えるために、視線を放り──
 この世界ではお目にかかることのできない、
 月のつもりになっているそれを見上げた。

「────」

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 ──あ。





 これは、


 言わない方がいいことだ。





 唇を開きかけてから、
 そのことに気づいたものだから、

 慌てて顔を背ける。



[アミューズタチカワ][【裏】駅前繁華街:常闇通り]
ライム [Eno.357] 2025-06-09 21:21:31 No.1504484

>>1481113 >>1504231
「……双方ともに、無益な争いによる衝突と犠牲を、
 少しでも減らせたらいいなと思っているだけ」

 それはまるで、ぼんやりと浮かぶ月のような理想論。

「遠い未来、科学が世界を征服したとしても、
 人は未知や奇跡への誘惑には抗えないだろうから」

「そのとき、僕たちの後に続く道を、
 少しでも歩きやすいものにしたいんだよ」

 要は、妥協と摩耗、歩み寄りの話である。
 それも、気が遠くなるような先にしか、結果が存在しないような。

 ──あの月は、一体、どこに・・・浮かんでいるのだろう。

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 言わない方がいい。





 僕はきっと、人間を、
 身近な人を守ろうという彼に対して、

 余計でしかない心配を掛けてしまうだろうから。





 ぼんやりとした、どっちつかずの立ち位置。

 ぼんやりとした、見えもしない遠い未来の話。

 ぼんやりとした、机上にも載せられない不出来な理想論。





 そんなものは、今、





 眼前に守りたいものがない証左でしかない。














 ──あの時、僕は、こう答えようとした。






「そういうわけではないけれど」


















「人間も、怪物も、僕には違いがわからないだけだよ」














 だから、

 どちらを守るとか、退けるだとか維持するだとか、








 面倒くさいことこの上なかったんだ。














 どうせ、どいつもこいつも、
 心のうちに怪物を飼っている。