RECORD
Eno.413 御田ニコの記録
夢 -芽吹き-
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目を開けると一面に広がるススキが視界に入る。
故郷の、村の近くにあった原っぱだということにすぐに気づく。


自分とそっくりの姿が目の前に現れる。
「―――っ」
声が、声にならない。

疑問が湧き出てくる。言葉にしようとしたがやっぱり声にならない。
『私』が口元に人差し指をあて、「しー」と言う。
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質問は届いていた……あるいは察せられていたのか。
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『私』が緑色の前髪を人差し指でくるくると弄る。
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次にその指で脇腹をトントンっと叩いて示す。かつて老婆に刺された箇所。
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唐突なできごとへの当惑
一時渇望した力がすでに自分の中にあったことへの驚愕
なによりも目の前の『私』に感じる郷愁
……え待って、いまさらっと死って言った?
一気に入ってくる情報と出ていく感情で頭がおいつかない。
それでもお構いなしに『私』は話を進めていく。
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脳裏に人の姿が浮かんでくる。
親友、友人、知人、これから仲良くしたいと想っている人たち。
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言葉を聞き終わる前に私は思わず両手で頭を抱え唸る。唸ったと思う。
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『私』が皮肉めいたことを言い、ふふっと笑う。
サーーーーーーー
ススキが強風で揺れる。
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名残惜しい。そんな声色に聞こえる。
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意識が遠のくなか
金色の両目が私を見つめていた。
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深夜。寮自室。
ベッドの上で目が覚める。
目の横を流れる一筋の涙。
「私の名前……」
なぜだか懐かしい気持ちが溢れる。
「いや、情報量エグ……笑」
ただの夢にしては内容をハッキリと覚えている。
涙を流しながら笑う自分がおかしくてまた笑ってしまう。
ひとしきり笑い落ち着いてくる。
さてどうしたもんか……
時計を見る。誰かに連絡をとるにしても遅い時間だ。
「……とりま寝なおそ」
一時あれほど望んだ『人を助けられる力』を(たぶん)得たのに思いのほか冷静な自分。
不思議ではなかった。
すでに私のことを助けになっていると、
光になっていると言ってくれた人たちがいるのだから。
窓から差し込む月の光が私を照らしている。
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目を開けると一面に広がるススキが視界に入る。
故郷の、村の近くにあった原っぱだということにすぐに気づく。

(でもどうして。
たしか一日中公園で子どもたちと遊んで帰ったらすぐに寝ちゃって―――)

「お目覚めか。とはいえ夢の中だがね」
自分とそっくりの姿が目の前に現れる。
「―――っ」
声が、声にならない。

「ここは君の夢の中だ。まぁ私が呼んだのだが」
疑問が湧き出てくる。言葉にしようとしたがやっぱり声にならない。
『私』が口元に人差し指をあて、「しー」と言う。
「昔のようにただのお喋りに興じたいところだが……この夢はそう長くはない」
「さて、私が何者なのか。という問いに対してだが――」
質問は届いていた……あるいは察せられていたのか。
「簡潔に答えるならそうだな……私は君の中に宿った種だ」
『私』が緑色の前髪を人差し指でくるくると弄る。
「そして私は芽吹き、少しだが力も戻った」
次にその指で脇腹をトントンっと叩いて示す。かつて老婆に刺された箇所。
「再生の力だ。力の一端にすぎないが」
「今や君は私を通して自他問わず肉体を再生することができる。
相手が再生を願い、君がそれを聞きいれたら再生は始まる。そう難しくはないだろう」
「人がいうところの神秘の類は再生のしようがないがね。これは私にも当てはまる。
心することだ。まだ芽でしかない私の消滅は君の死にも繋がるのだから」
唐突なできごとへの当惑
一時渇望した力がすでに自分の中にあったことへの驚愕
なによりも目の前の『私』に感じる郷愁
……え待って、いまさらっと死って言った?
一気に入ってくる情報と出ていく感情で頭がおいつかない。
それでもお構いなしに『私』は話を進めていく。
「私は君に向けられた想いを糧に成長する」
脳裏に人の姿が浮かんでくる。
親友、友人、知人、これから仲良くしたいと想っている人たち。
「成長の末に君は――」
言葉を聞き終わる前に私は思わず両手で頭を抱え唸る。唸ったと思う。
「……頭の限界か」
『私』が皮肉めいたことを言い、ふふっと笑う。
サーーーーーーー
ススキが強風で揺れる。
「もう、か」
名残惜しい。そんな声色に聞こえる。
「我が宿主であり最愛の子よ、願わくば実り多き生であらんことを」

「――またな、恵美」
意識が遠のくなか
金色の両目が私を見つめていた。
――――――――――
――――――
――――
――
深夜。寮自室。
ベッドの上で目が覚める。
目の横を流れる一筋の涙。
「私の名前……」
なぜだか懐かしい気持ちが溢れる。
「いや、情報量エグ……笑」
ただの夢にしては内容をハッキリと覚えている。
涙を流しながら笑う自分がおかしくてまた笑ってしまう。
ひとしきり笑い落ち着いてくる。
さてどうしたもんか……
時計を見る。誰かに連絡をとるにしても遅い時間だ。
「……とりま寝なおそ」
一時あれほど望んだ『人を助けられる力』を(たぶん)得たのに思いのほか冷静な自分。
不思議ではなかった。
すでに私のことを助けになっていると、
光になっていると言ってくれた人たちがいるのだから。
窓から差し込む月の光が私を照らしている。