RECORD
Eno.77 磯向井 利慕の記録

そのネット記事を見たのは、小学4年生だったか。
いつものようにクラスで軽く話して、パソコン室で遊ぼうとなって。初めはゲームでもしようかという話をしていたのだが、開いたPCの小さい記事に目を奪われた。



皆が自分の事を見た。
まただ。周りは知っているんだ。


周りはソッと離れて、別のPCのところに行った。楽しそうな雰囲気が空気ごと引っ張られて、自分の所には重苦しい空気しか残ってないかの様。
ページを開く。


そこからは、何がなんだか覚えてない。


欲しかった物が、情報が、津波の様に押し寄せて。
検索の手が止まらなかった。全部を知りたかった。やっと会えた父親と話をするように。
けれど、出てくる情報は酷いものばかり。
父親への誹謗中傷。勝手な考察。
そして、母と自分に対する暴言。



当然、自分がネットに上げたものではない。
そこにつけられたコメントは、見るも耐えられない物ばかりだった。
情報の波が去った後は、何も残らなかった。
自分でコレなのだから、きっと母も同じ様な目に合っているのだろう。
きっと、こういった写真に気付いてすぐに引っ越し、安心出来る場所を探し続けたのだ。
だが、どこも同じだった。人が多い都会ではすぐに写真が上がり、人の少ない田舎では陰湿な仕打ちに合う。
陰ながらに避けられたのも。
何度も引っ越しをし続けたのも。
母さんがいつも辛そうだったのも。
海の本で泣き出してしまったのも。

❖回想録

そのネット記事を見たのは、小学4年生だったか。
いつものようにクラスで軽く話して、パソコン室で遊ぼうとなって。初めはゲームでもしようかという話をしていたのだが、開いたPCの小さい記事に目を奪われた。

「あ、これ知ってる」

「うちのお母さんの遠い親戚がこれの被害にあったんだって」

「ちょっと。誰の前でそれを言ってるの」
皆が自分の事を見た。
まただ。周りは知っているんだ。

「……僕、知らない」

「だから、これ、一人で見ていい?」
周りはソッと離れて、別のPCのところに行った。楽しそうな雰囲気が空気ごと引っ張られて、自分の所には重苦しい空気しか残ってないかの様。
ページを開く。

「酷い悪天候の運行を強行したとされ」

「死者…………」
そこからは、何がなんだか覚えてない。

「船長、石賀 島嶼」

「依然として、行方不明」
欲しかった物が、情報が、津波の様に押し寄せて。
検索の手が止まらなかった。全部を知りたかった。やっと会えた父親と話をするように。
けれど、出てくる情報は酷いものばかり。
父親への誹謗中傷。勝手な考察。
そして、母と自分に対する暴言。

「……なんで」


「なんで、写真まで」
当然、自分がネットに上げたものではない。
そこにつけられたコメントは、見るも耐えられない物ばかりだった。
情報の波が去った後は、何も残らなかった。
自分でコレなのだから、きっと母も同じ様な目に合っているのだろう。
きっと、こういった写真に気付いてすぐに引っ越し、安心出来る場所を探し続けたのだ。
だが、どこも同じだった。人が多い都会ではすぐに写真が上がり、人の少ない田舎では陰湿な仕打ちに合う。
陰ながらに避けられたのも。
何度も引っ越しをし続けたのも。
母さんがいつも辛そうだったのも。
海の本で泣き出してしまったのも。

「全部、全部」

「父親のせいだったんじゃんか!!」