RECORD

Eno.176 都筑 明日汰の記録

クエストログ - 氾濫する神秘

ある夏の日のこと
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  [Eno.176] 2025-08-12 11:50:40 No.5359258

ムラヤマ自然保護区北西部、北摩川源流。
神秘率の急上昇を受けて、北摩市は各機関の民間協力者にさえ
緊急の救援要請を発表した。

駆り出されるのは北摩テクノポリスの学生の中でも有数の実力者たち。
アスタにとってもよく知る人物たちが続々と現場へ急行する中で、
ついぞアスタ自身の元へ救援要請が届くことはなかった。

――しかし。
事態発生からある程度の時間が経った頃、カレントの通信回線を通じて
先遣隊からの救難信号が発される。
現在、先遣隊は壊滅。助力を求む――と。

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アスタ [Eno.176] 2025-08-12 12:00:44 No.5359501

>>5359258
既に各機関の実働メンバーはダウザー構成員の捜索に駆り出され、
救助活動が可能な人員に有力な候補者はいないだろう。

それはアスタの属するカレントラボラトリーズのメンテナンス部門、
カレントリペアラーズの第十三班でも同様だった。
それぞれ技術力はあれど、後方支援を得意とする周囲が尻込みする中で
拳を固く握って出撃の準備をし始めたのは赤髪の少年唯一人だった。

「ええい、止めてくれるな!
 今は一分一秒を争う事態の筈だッ!」

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  [Eno.176] 2025-08-12 12:03:18 No.5359568

>>5359445
そうして。
少年は真紅の愛機ロボタと共に、現場へと急行する。

常世の境目――
それは北摩川の水源にほど近い、表世界へ繋がる『境目』のひとつ。
……だが、その境目の先は表世界ではなく、モノクロの異なる世界を映していた。

境目のすぐ近くには、恐らくこの先で負傷し
離脱してきたであろうインターン生たちの姿があった。

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キミノ [Eno.177] 2025-08-12 12:13:43 No.5359847

>>5359568
「アスタちゃん!?」
そんな少年とロボットを、一人の少女が呼び止める。
支援役として同行していた幼馴染は、
今も負傷した人々を神秘の力を宿した補給箱で治療に当たっていたようで。

「救援要請に気付いて来たの……?」
その問いは、喜びとは違う。複雑な響きで。
けれど、人々が集まり声が飛び交うこの空間では、
言葉の奥にあるその声のトーンに、少年が気付くことは無いだろう。

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アスタ [Eno.176] 2025-08-12 12:20:36 No.5360015

>>5359847
インターン生から口々に声が上がる。

『リペアラーズの修理屋くんが何故ここに……!?』
『まさか救援? 無茶だ、手に負えるような相手じゃない……!』

そこにはきっと、蔑みの色は含まれてはいないだろう。
彼らの紡ぐ言葉のいずれもが、少年を思い遣っている。
この先に待つ脅威から、荒事への適正のない同胞を遠ざける為に。

「俺様はカレントリペアラーズ第十三班、都筑 明日汰!
 救難信号を受けてあんたたちの救援に参じた者だ!!」

見知らぬインターン生にも伝わるように、大きな声で名乗りを上げる。
少年の横では子供大の機人がやる気を見せるように両腕を上げて
自らのやる気をアピールして見せた。

幼馴染の少女がその実力を認められ、
先んじて救援に駆り出されていたことなど知る由もないまま。

「今はこれ以上の救援を待つ時間も、戦力を捻り出す余裕も無い!
 あとは俺様とロボタに任せて貰おう!!」

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キミノ [Eno.177] 2025-08-12 12:28:50 No.5360171

>>5360015
「アスタちゃん、他の13班の人は後から来るの?
 ……。 ! もしかして単独で来たの!?」

後に続いて現れる人々がいないのを確認して、少女は流石に声を上げる。

「アスタちゃん、それは流石に、みんなが言う通り無茶だよ。
 言ってることはわかるし、アスタちゃんとロボタの戦力を疑ってはいないよ。
 でも、危険すぎる。絶対にだめ!」

少女は珍しく、アスタの行動に真っ向から反対の意思を示す。
選択への批難も実力への不信もない。
そこにあるのは、ただ純粋に少年の無事を想う心で。

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アスタ [Eno.176] 2025-08-12 12:38:23 No.5360385

>>5360171
「キミノ……!?」

掛けられた声。その主の正体に、少年は目を丸くする。
――いいや。彼女が優れた技術者であることは知っている。
自分よりも先に呼ばれていることは、何もおかしなことではない――
そう、思い直せば。

「ああ、悪いがすぐに動けるのは俺様一人だ。
 だがお前たちが止めようとも、俺様はこの先へ行くぞ!
 中にはまだ取り残されているインターン生もいるのだろう!
 事態は一刻を争うんだ! 俺様は待って後悔などしたくはない!
 全員を救助して――全員で生きて帰るんだッ!!

危険は承知の上だと、力強く宣言して。
少年は愛機を伴い、一目散に境目の向こう目掛けて駆け出した。

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キミノ [Eno.177] 2025-08-12 12:40:10 No.5360413

>>5360385
「ちょ、アスタちゃん! 話は全然終わって、」

駆け出していく背中に少女は声を張り上げる。
それでも止まらない幼馴染に、ふるりと拳を震わせて。
その手を、ぎゅっときつく握り、震えを抑える。

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キミノ [Eno.177] 2025-08-12 12:43:18 No.5360478

>>5360385
>>5360413
「もう……もう、っ……馬鹿!!!!!!!
少女もまた駆け出していく。
一人にさせられる筈がなかった。
きっと誰よりも、彼の死を恐れているのは自分なのだから。

少年に追い付かんとする勢いで、
少女は躊躇いなく、その境目へと踏み込んだ。

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そして
[][小規模神秘氾濫空間]
アスタ [Eno.176] 2025-08-12 13:07:05 No.5360873

>>5360413
>>5360478
境目の先。小規模神秘氾濫空間。
裏世界から抜けた表世界『だったはず』の場所。
発掘現場じみた荒野。ダウザーが神秘を汲みださんとするその場所で、
先遣隊のインターン生たちの技術の粋を集めた科学兵器たちが
恐るべき神秘によって無惨にも破壊し尽くされていた。

「大丈夫か、皆ッ!!」

答えを返す余裕も無いほどに疲弊している彼らを懸命に励ましながら、
未だその目的を果たせてはいないダウザーたちへと少年は向き直る。
背後の同胞たちを庇うようにしながら、数歩、前へ出て。

「お前たちが、ダウザー……!!」

その言葉は強い怒気を含んでいる。
それは仲間たちを傷つけた事への怒りか。
あるいは。

「本来人がどれほど求めても、決して届くことがない……
 そんな神秘を手にすることが出来た超越者でありながら――!」

「何故お前たちはそんな力を使って、平然と人を傷つけられる!?
 何故お前たちは遍く持たざる人々を神秘氾濫へ巻き込もうとする!?
 選ばれた者でありながら、何故――!!
 何故、人の痛みと悲しみを厭うことが出来ないんだッ!!」


――答えはない。
代わりに、構成員たちは再び戦闘態勢へと戻って。

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[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 13:09:39 No.5360914
移動:
10

[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 13:14:54 No.5361024
ディスパッチ:
10

[][小規模神秘氾濫空間]
キミノ [Eno.177] 2025-08-12 13:21:47 No.5361209

>>5360873
>>5361024
「アスタちゃん!!──それ以上は一旦、前に出ないで。」
少女は鋭く声を上げる。
状況を整理すると同時に、起点となる陣地を展開して、息を吐く。

「私、怒ってるから。
 でも、お説教は後でね。
 今はこの、見るからに悪だくみしてる機械を、私たちとロボタでぶっ壊すよ!」

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[][小規模神秘氾濫空間]
アスタ [Eno.176] 2025-08-12 13:32:44 No.5361407

>>5361024
>>5361209
「これは……!」

背後から駆けつけてきた幼馴染。
手早く展開されたその陣地は、学連が体系化してきたものを
彼女の技術力が昇華した鉄壁の防護が、少年をあらゆる害意から守る。

「お前こそ、何故ついて来たんだッ!
 出口で待つ彼らには、お前の救助が必要だった筈だろうッ!」

そうだ。彼女は自分とは違う、有数の技術者。
神秘の力を宿した補給箱による治療は、多くの負傷者にとって
必要なものであった筈だ。

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[][小規模神秘氾濫空間]
キミノ [Eno.177] 2025-08-12 13:42:44 No.5361732

>>5361407
防護壁はやがて、二人の周囲に張り巡らされる。
それはつまり、後方にいる彼らを脅威から隔離する壁となる。

「寧ろ何でついてこないと思ったのアスタちゃんの馬鹿!!
 アスタちゃんの言う通り、こっちは人手不足なの。
 新しい要救助者を出してる場合じゃないの!」

ぴしゃりと少女は言い放つ。

「あっちは足りないだけで、代わりがいないわけじゃない。
 でも、遮二無二突っ込んでいく誰かさんにお節介を焼けるのは、幼馴染の私だけでしょ?」

当たり前のように少女はそこに立つ。
こんな状況下でも、唇を笑みの形に変えて。

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余計なことを、と内心で独り言ちる。
しかしそれでも、彼女ほどに心強い助っ人はいなかった。

[][小規模神秘氾濫空間]
アスタ [Eno.176] 2025-08-12 13:34:19 No.5361458

>>5361407
「――いや。今更簡単に見逃してくれるほど、
 奴らも愚かではないだろうな……。仕方がない」

ロボタを操作する為のコントローラーに両手を添える。
迫りくるダウザーの構成員たちを睨みつけ、
この状況を一刻も早く打開する為に――!!

「たとえ嫌でも俺様に力を貸して貰うぞ、キミノよ!
 あのデカブツごと奴らを懲らしめ――全員を生きて帰す為にな!!」

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[][小規模神秘氾濫空間]
キミノ [Eno.177] 2025-08-12 13:45:53 No.5361847

>>5361732
>>5361458
合点承知!!もちろんだよ!
 振り回されっぷりにかけては、そこらの人とは年季が違うんだから!」

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[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 13:52:50 No.5362072
スモークスクリーン:
20

[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 14:11:18 No.5362688
ハイジャック:
30

[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 14:15:27 No.5362781
ペネトレイト:
35

[][小規模神秘氾濫空間]
アスタ [Eno.176] 2025-08-12 14:20:22 No.5362917

>>5361847 >>5361732 >>5362072 >>5362688 >>5362781
なーっはっはっはっは!!
 見たか、ダウザー! 俺様たちの力をッ!!」

「残るはデカブツとそれを守る一人だけだ!
 このまま一気に……押し切るぞッ!!」

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[][小規模神秘氾濫空間]
キミノ [Eno.177] 2025-08-12 14:26:45 No.5363091

>>5362917
さすがアスタちゃん、と言いかけた口を閉じて、飲み込む。
やっぱりアスタちゃんは凄い。
私がこんな風に心配しても、周りがそうしたって、
彼はいつだってそれにめげずに飛び越えて行ってしまう。
それが眩しい。
だから、

「そう、まだ本命が残ってるよ。油断は大敵!」

その背中を叩いて、見守る。
生きて帰る可能性を、費やさせはしない。

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残された巨大重機と構成員は、しかし、
取り巻きを失って尚恐るべき脅威だった。

[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 14:47:35 No.5363718
エーテルブラスト:
50


辺りを破壊し尽くす神秘。魔法じみた力。
計画の邪魔を排除する、力の顕現エーテルブラスト
少女の守りがないままにこれを受けてしまっていたのなら、
背後に伏す仲間たちのようになってしまったことは想像に難くない。

[][小規模神秘氾濫空間]
アスタ [Eno.176] 2025-08-12 14:47:55 No.5363734

「あのデカブツを仕留めるには弱い攻撃じゃ駄目だ!
 ロボタの最大出力を――奴にぶつけるッ!!」

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[][小規模神秘氾濫空間]
キミノ [Eno.177] 2025-08-12 14:49:02 No.5363773

>>5363734
「一発勝負だね…わかった。」

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[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 14:49:41 No.5363796
ブルワーク:
20

[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 14:54:45 No.5364006
ハイジャック:
30


キミノの放ったアンカーボルトが、巨大な機械の装甲に幾重にも突き刺さる。
ダウザーの構成員が何事かと動揺した瞬間。それはまさしく好機だった。

[][小規模神秘氾濫空間] 2025-08-12 14:56:49 No.5364070
デモリッション:
25


ロボタの最大出力の一撃ロケットバンカーが、御柱と嘯く神秘へと飛翔する。
少女によって数多のアンカーボルトが突き立った、その装甲面目掛けて精確無比に。
ボルトに衝撃が加われば、当然の帰結として始まるのは亀裂と崩壊。

[][小規模神秘氾濫空間]
アスタ [Eno.176] 2025-08-12 15:04:17 No.5364312

>>5363734 >>5363773 >>5363796 >>5364006 >>5364070
「……やったか!?」

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[][小規模神秘氾濫空間]
キミノ [Eno.177] 2025-08-12 15:07:24 No.5364409

>>5364312
「それはフラグだよアスタちゃん!」

「でも、……やったよ!!

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[][小規模神秘氾濫空間]
アスタ [Eno.176] 2025-08-12 15:52:48 No.5365597

>>5364409
「こうしてはいられん!
 早く要救助者を連れて脱出するぞ!!」

空間内に取り残された人数はそう多くはない。
救助活動は自分とロボタで事足りると判断すれば、
幼馴染の少女へ振り返って。

「俺様がロボタで皆を運び出す!
 その間に安全の確保が出来たことをカレントへ伝えてくれ!」

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[][小規模神秘氾濫空間]
キミノ [Eno.177] 2025-08-12 15:58:46 No.5365709

>>5365597
「お、っとそうだね。
 連絡は任せて。先に向こうに戻って、説明もしておく!」

勝手に行動したから怒られるかな、と苦笑しつつ、
少女は一足先にこの空間を駆け去って行く。

「お説教、忘れてないからねー!」

最後にそう言い残して。

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こうして、ダウザーとの初の交戦はアスタたちの勝利という形を幕を下ろしたのだった。