RECORD
Eno.344 本田健斗の記録
この身に流れるは
今日は自分の神秘のルーツを教えて貰う日だ。結局深夜まで眠れなかったから若干寝不足になってしまった。
「おはようございます。父さん、母さん。」
祖父が家に来るのはお昼らしいからもう少しだけ時間がある、もう一度「本当に大丈夫か。」と聞かれたけれど答えは変わらなかった。
後少しだけ団欒の時間を、先んじて知ってしまった内容から察するにこれから聞く話は楽しいものでは無いだろうから。
その後にお昼ご飯を食べて……一つ知りたかった事を調べて、やはりそうだったのかと自分の罪を一つ確かめた。
その後実家に訪れた祖父は変わらず元気で少しだけ歳の割に若く見える。それがこれから聞く話と関係あるのかはわからないけれど……
「はい、よろしくお願いします。今回はちゃんと聞く用意をしてここに来ましたから。」
何故だか申し訳無さそうに話し始めた祖父の言葉に耳を傾けた。聞くのが少し怖いけれど、これから進むために必要だと決めた以上はちゃんと聞かないと。
……やっぱり自分はそうだったのか、かなり時間がかかったが話が終わった。本当ならそうで無ければ良かったけれどもう覆せないのならば向き合おう、これからへ進むために。
それから少しの間難しい顔をしていたのだと思う。家族が自分を不安そうな顔で見ていたから。
その事に気がつくのにしばらくかかって、それでやっと気がついた時に私は
「……これで話は全部終わりですか?」
そう淡々と言っていた。
「少し考えさせてください、ちゃんと受け止めたいんです。」
そう言って多分思っているよりは少しだけ困った様子で自分の部屋に戻った。
そうして自分の手のひらを眺めて一人考え始める。事前にわかってはいたけれど自分は純粋な人間では無かったようだ。少しだけ怪奇の血が混ざっていたらしい。そしてそれとは別に神秘使いまでご先祖様に居たとは。
まずは聞いた話をちゃんと纏めよう。
「(まず第一に……)」
母方の高祖父は1000年以上前に不老不死を生み出そうとした魔術師による人体実験によって生み出された元人間の怪奇だったそうだ。そして神秘の抑制装置を兼ねる赤い本の執筆者である。話だけではまだ本当に日記を書いたのが高祖父だったのか怪しかったがこれで確定した形になった。
人間としての形を完全に保ちながら実際に不老不死と思えるような不死性を手に入れた……高祖父が持っていた全ての魔術の能力を代償に。
扱う魔術が直接戦闘には向いていないものだらけだったから狙われたとか、その後救出されるも魔術師としての能力を失っていた為に追い出された等色々と過酷な境遇だったらしい。
らしいがまず問題として
「本当に寿命はどうなってるのでしょうねこれ。」
祖父曰く本当に高祖父1000年以上生きたのかはわからないが、少なくとも祖父が成人する少し前までは生きていた上に曽祖父も神秘がほとんど消えていった後にも関わらず人の寿命としては明らかに長いだけの時を生きたそうだ。しかも高祖父は表世界で生きて神秘を失う道を選んだから死んだが祖父が裏世界に連れて行って貰った時は明らかに元気になっていたからもし今も裏世界で過ごしていたらまだ生きていた可能性すらあるらしい。
それならば神秘が曽祖父の頃よりは満ちているだろう現在に生まれ怪奇の血が色濃く出た先祖返りであった為に神秘が目覚めてしまったと思しき私は人よりは長く生きると考えるべきだろう……まだ余り実感はわかないし人より老いが遅いか明確にわかるのは十年単位でかかると思うべきだ。それでもこれがある意味一番の問題だから後で考えられるだけは考えてみようか。
そしてもう一つ気がかりなのが神秘使いだったという母方の高祖母の神秘だ。
高祖父が故郷を脱出した後に裏世界に逃げ込んだらしく、時折表世界に戻りながらも裏世界各地を放浪し何時しか日本にたどり着いて高祖母と出会ったらしい。
高祖母は神秘使いの家の分家だった為かほとんど神秘についての資料が残っておらず残された資料を探しても他者の術式を模倣する事しかわからなかったらしい。つまり最近自分にあるとわかった神秘の出所はわかったが結局詳細は不明のままということだ。
……ただその一族の神秘使いは神秘の扱いが巧みであればあるほど短命だったそうだ、何故そうだったのかはわからないが長命な怪奇の血を引いた自分が今の魔法もどきを使い続け伝道師や聖職者の真似事を続けてたら果たしてどうなるのか、今の所特に異変は感じないが警戒はしておくことにしよう。
わかったことも多いがまだわからない事も多い。そもそも消えていくはずだった神秘が受け継がれてしまった事が完全に想定外なのだろう。ここからは自分でなんとかしていくしかない。
「(再生能力については不完全な不老不死といった所でしょうか。)」
更に自分の能力について考えていく。
今はまだ不老でも不死でも無いだろうが人間を完全に止めたら果たしてどうなるのか、完全な不老不死になるのかはわからないがならないにしてももっと人間から離れてしまうのだろう。
高祖父は裏世界を旅していくにつれて少しずつ身体が裏世界に適応していってらしいから自分の魔眼も適応しようとした結果の一つなのだろう。やはり使用時の痛みを完全に無くすには人である事を止めるしか無さそうだ。
しばらくの間他にもあーでもないこーでもないと考えていたが思っていたよりも時間が経ってしまって事に気がついた。一度切り上げてそろそろ家族に顔を見せようか。
以前覚醒した際は自分の正体を知るのが恐ろしくて自分が化け物で無いのかと考えていた。けれど結局の所自分は自分でしか無くて、きっとこれからもそうであり続けるのだろう。
ただ、その中で許されるのなら人間の寿命に達するまでは自分は人間なのだと言い張りたい。それが純粋な人間から見れば滑稽な主張だったのだとしても本当なら人間として生まれてきた自分はもう少し人として生きていたいらしい。
「おはようございます。父さん、母さん。」
祖父が家に来るのはお昼らしいからもう少しだけ時間がある、もう一度「本当に大丈夫か。」と聞かれたけれど答えは変わらなかった。
後少しだけ団欒の時間を、先んじて知ってしまった内容から察するにこれから聞く話は楽しいものでは無いだろうから。
その後にお昼ご飯を食べて……一つ知りたかった事を調べて、やはりそうだったのかと自分の罪を一つ確かめた。
その後実家に訪れた祖父は変わらず元気で少しだけ歳の割に若く見える。それがこれから聞く話と関係あるのかはわからないけれど……
「はい、よろしくお願いします。今回はちゃんと聞く用意をしてここに来ましたから。」
何故だか申し訳無さそうに話し始めた祖父の言葉に耳を傾けた。聞くのが少し怖いけれど、これから進むために必要だと決めた以上はちゃんと聞かないと。
……やっぱり自分はそうだったのか、かなり時間がかかったが話が終わった。本当ならそうで無ければ良かったけれどもう覆せないのならば向き合おう、これからへ進むために。
それから少しの間難しい顔をしていたのだと思う。家族が自分を不安そうな顔で見ていたから。
その事に気がつくのにしばらくかかって、それでやっと気がついた時に私は
「……これで話は全部終わりですか?」
そう淡々と言っていた。
「少し考えさせてください、ちゃんと受け止めたいんです。」
そう言って多分思っているよりは少しだけ困った様子で自分の部屋に戻った。
そうして自分の手のひらを眺めて一人考え始める。事前にわかってはいたけれど自分は純粋な人間では無かったようだ。少しだけ怪奇の血が混ざっていたらしい。そしてそれとは別に神秘使いまでご先祖様に居たとは。
まずは聞いた話をちゃんと纏めよう。
「(まず第一に……)」
母方の高祖父は1000年以上前に不老不死を生み出そうとした魔術師による人体実験によって生み出された元人間の怪奇だったそうだ。そして神秘の抑制装置を兼ねる赤い本の執筆者である。話だけではまだ本当に日記を書いたのが高祖父だったのか怪しかったがこれで確定した形になった。
人間としての形を完全に保ちながら実際に不老不死と思えるような不死性を手に入れた……高祖父が持っていた全ての魔術の能力を代償に。
扱う魔術が直接戦闘には向いていないものだらけだったから狙われたとか、その後救出されるも魔術師としての能力を失っていた為に追い出された等色々と過酷な境遇だったらしい。
らしいがまず問題として
「本当に寿命はどうなってるのでしょうねこれ。」
祖父曰く本当に高祖父1000年以上生きたのかはわからないが、少なくとも祖父が成人する少し前までは生きていた上に曽祖父も神秘がほとんど消えていった後にも関わらず人の寿命としては明らかに長いだけの時を生きたそうだ。しかも高祖父は表世界で生きて神秘を失う道を選んだから死んだが祖父が裏世界に連れて行って貰った時は明らかに元気になっていたからもし今も裏世界で過ごしていたらまだ生きていた可能性すらあるらしい。
それならば神秘が曽祖父の頃よりは満ちているだろう現在に生まれ怪奇の血が色濃く出た先祖返りであった為に神秘が目覚めてしまったと思しき私は人よりは長く生きると考えるべきだろう……まだ余り実感はわかないし人より老いが遅いか明確にわかるのは十年単位でかかると思うべきだ。それでもこれがある意味一番の問題だから後で考えられるだけは考えてみようか。
そしてもう一つ気がかりなのが神秘使いだったという母方の高祖母の神秘だ。
高祖父が故郷を脱出した後に裏世界に逃げ込んだらしく、時折表世界に戻りながらも裏世界各地を放浪し何時しか日本にたどり着いて高祖母と出会ったらしい。
高祖母は神秘使いの家の分家だった為かほとんど神秘についての資料が残っておらず残された資料を探しても他者の術式を模倣する事しかわからなかったらしい。つまり最近自分にあるとわかった神秘の出所はわかったが結局詳細は不明のままということだ。
……ただその一族の神秘使いは神秘の扱いが巧みであればあるほど短命だったそうだ、何故そうだったのかはわからないが長命な怪奇の血を引いた自分が今の魔法もどきを使い続け伝道師や聖職者の真似事を続けてたら果たしてどうなるのか、今の所特に異変は感じないが警戒はしておくことにしよう。
わかったことも多いがまだわからない事も多い。そもそも消えていくはずだった神秘が受け継がれてしまった事が完全に想定外なのだろう。ここからは自分でなんとかしていくしかない。
「(再生能力については不完全な不老不死といった所でしょうか。)」
更に自分の能力について考えていく。
今はまだ不老でも不死でも無いだろうが人間を完全に止めたら果たしてどうなるのか、完全な不老不死になるのかはわからないがならないにしてももっと人間から離れてしまうのだろう。
高祖父は裏世界を旅していくにつれて少しずつ身体が裏世界に適応していってらしいから自分の魔眼も適応しようとした結果の一つなのだろう。やはり使用時の痛みを完全に無くすには人である事を止めるしか無さそうだ。
しばらくの間他にもあーでもないこーでもないと考えていたが思っていたよりも時間が経ってしまって事に気がついた。一度切り上げてそろそろ家族に顔を見せようか。
以前覚醒した際は自分の正体を知るのが恐ろしくて自分が化け物で無いのかと考えていた。けれど結局の所自分は自分でしか無くて、きっとこれからもそうであり続けるのだろう。
ただ、その中で許されるのなら人間の寿命に達するまでは自分は人間なのだと言い張りたい。それが純粋な人間から見れば滑稽な主張だったのだとしても本当なら人間として生まれてきた自分はもう少し人として生きていたいらしい。