RECORD

Eno.382 フルルーナ・ワイズマンの記録

丘の月、寺の月、河の月


「……最近来てなかったな、こっち」



夏休みの間はあまり来なかった裏世界。
とくにこの、満月が無数に浮かぶ河川敷はいつぶりだろう。
来なかった色々理由はあるが、それは後で。
以前見たときと変わらない、真っ黒で満月の浮かぶ河を見る。

「そろそろ考え変わってくれない?こっちのあーしは」



……こことは違う満月の丘。
そこで友人を一人失った。
失ったと言っていいかはまだわからないけど。

裏世界の月は自分ではないもの。
その力を使うには「交渉」が必要になる。
丘のあーしとは話がついた。
寺のあーしとも話がついている。
しかしここ河川の、無数の水月はいつまで経っても応えてくれない。

……水月の中には、稀に死んでいるものがある。
そうなると厄介で、形が残っていると何かが入り込んでいる・・・・・・・・・・事が多い。
もし、ここに浮かんでいる全てがそうだとしたら。






一体何人が、この河に沈んだのだろう?










視界は、未だ改善せず。