RECORD
Eno.763 天堂アヤメの記録
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────仲間たちは、案外すんなり見送ってくれた。
難色を示されるかも、なんて思ったが杞憂に過ぎなかったようだ。
きっと私が居なくなっても、日常は変わらずに続いていくのだろう。
それに寂しさを覚えないかと言われれば嘘になる。
けれど、どんな世界においても私という存在はちっぽけな一欠片に過ぎないのだなと改めて思った。
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……そんな世界を渡り続けた一欠片が、最後にやり遂げる仕事は。
世界の崩壊を招きかねない面倒な遺物を、密かに処理する事。
三機関の眼が届かない所で終わらせるのが、越境者としての私の最後の使命だ。
────────────
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────
……シロを連れてこの世界へ戻ってきて、数日が経った。
時間のズレは思ったよりも小さく、私が過ごした1週間はこちらでの約1ヶ月となっていた。
本当なら1年くらいを覚悟していたのだが、無事に帰って来る事が出来てホっとしている。
ただ、戻ってきて早々、私が帰るという選択をしたツケを払うことになった。
一言で言えば、誠の様子が変わってしまった。
いいや、元々抑え込んでいたものが悪い方向に爆発してしまったというべきか。
何かあると自傷して落ち着かせようとする仕草から察してはいた。
けれどまさかここまで自己否定が酷くなっているとは思わなかった。
悪化したきっかけはおそらく、両親と兄からの電話。
詳細に何を言われたか、は分からないが……
夢々蜜が言うには子に対して言うことではないような事や否定できない煽りをされている、と。
その時点で斬り捨ててしまいたい程にはらわたが煮えくり返る思いだったが、
例え出来たとしても、それは決して出来ない選択なのは明白だった。
私がもう少しこの世界に残っていれば。
せめて夏休みが明けるまで居たのなら、状況は違ったのだろうか。
そう思う度に自分が許せなくて、情けないと思ってしまう。
何が恋人だと、何が彼女だと、浮かれて本質を見る事を疎かにしていた自分を殴ってしまいたい。
︙
……私に出来ることは、現状をどうにかしようとしている誠を信じて支えてあげることだけだ。
無理を強いたり強制したりなんてしないように、ただそばに居て見守るだけ。
一緒に生活していたら、いい方向に変わっていくだろうと信じて待つしかない。
それが、彼を一人にして苦しめた私の責務であり、果たすべき責任だ。
……私には復讐という目標がある。
けれどそれ以上に、今は誠の事が大事だ。
いつか、再び選択を迫られた時、私がどちらを選ぶのかは定かではないが。
……どちらを選んでも、悔いのないように過ごしていきたい
本当は直接言いたいけれど、優しいあなたは思い悩んでしまうだろうから、ここに記します。
大事な時に、一緒に居れてあげられなくてごめんね。
苦しい時に、支えてあげられなくてごめんね。
大事な約束、守れなくて本当にごめんね。
本当は、ずっと一緒に居たかったんだよ。
あなたの隣に居て、笑い合える日々を過ごしたかったんだよ。
本当、なんだよ。
帰還、そして
「なんでェ、もう帰ってこないのかよ?……ま、アタシらの事は気にせず元気にやんな」
「ええ~?寂しくなるなぁ……でも恋人出来たんだよね、やるじゃんイエー!」
「ふあぁう……まあなんだ、俺からも先生に言っておくから安心して行けよ」
────仲間たちは、案外すんなり見送ってくれた。
難色を示されるかも、なんて思ったが杞憂に過ぎなかったようだ。
きっと私が居なくなっても、日常は変わらずに続いていくのだろう。
それに寂しさを覚えないかと言われれば嘘になる。
けれど、どんな世界においても私という存在はちっぽけな一欠片に過ぎないのだなと改めて思った。
「……ああ、そうだ。一応言っといた方がいいな」
「お前さんが越境に利用したとかいうあの小さな装置……ありゃ『HEXAの遺産』関連だ」
「この装置の大元がまだ例の世界に転がってる可能性がある。近いうちに何人か向かわせる予定だが……」
……そんな世界を渡り続けた一欠片が、最後にやり遂げる仕事は。
世界の崩壊を招きかねない面倒な遺物を、密かに処理する事。
三機関の眼が届かない所で終わらせるのが、越境者としての私の最後の使命だ。
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……シロを連れてこの世界へ戻ってきて、数日が経った。
時間のズレは思ったよりも小さく、私が過ごした1週間はこちらでの約1ヶ月となっていた。
本当なら1年くらいを覚悟していたのだが、無事に帰って来る事が出来てホっとしている。
ただ、戻ってきて早々、私が帰るという選択をしたツケを払うことになった。
一言で言えば、誠の様子が変わってしまった。
いいや、元々抑え込んでいたものが悪い方向に爆発してしまったというべきか。
何かあると自傷して落ち着かせようとする仕草から察してはいた。
けれどまさかここまで自己否定が酷くなっているとは思わなかった。
悪化したきっかけはおそらく、両親と兄からの電話。
詳細に何を言われたか、は分からないが……
夢々蜜が言うには子に対して言うことではないような事や否定できない煽りをされている、と。
その時点で斬り捨ててしまいたい程にはらわたが煮えくり返る思いだったが、
例え出来たとしても、それは決して出来ない選択なのは明白だった。
私がもう少しこの世界に残っていれば。
せめて夏休みが明けるまで居たのなら、状況は違ったのだろうか。
そう思う度に自分が許せなくて、情けないと思ってしまう。
何が恋人だと、何が彼女だと、浮かれて本質を見る事を疎かにしていた自分を殴ってしまいたい。
>>6559535
静寂の間に自分も団子を食べきって、お茶を一口飲んだ。
「だろうね、多分天堂はそんな感じだと思うよ。
俺だってアイツのこと酷い人間だとか思ってないし。
面倒くせえ奴なら常日頃思ってるけど」
他の人なら優しく難儀だとか言ってくれるだろうけど
何度も聞くとストレートになってしまうのは申し訳ない限り。
「……ま、罪に縛られてる意識が強いからね。
なんつーか、不変を望んでるだよな、知らなきゃ平和に過ごせるだろ?
最近、怪異だった人に嘘吐かれてたのもあったみたいで
知ること恐れてる節がどうにもあるみたいなんだよ」
でも俺は、と言葉を続けて。
「……支えって必要なんじゃないかなって。
ほんの少しだけでも進もうとしてるから、いてあげたらいいんじゃない」
……私に出来ることは、現状をどうにかしようとしている誠を信じて支えてあげることだけだ。
無理を強いたり強制したりなんてしないように、ただそばに居て見守るだけ。
一緒に生活していたら、いい方向に変わっていくだろうと信じて待つしかない。
それが、彼を一人にして苦しめた私の責務であり、果たすべき責任だ。
……私には復讐という目標がある。
けれどそれ以上に、今は誠の事が大事だ。
いつか、再び選択を迫られた時、私がどちらを選ぶのかは定かではないが。
……どちらを選んでも、悔いのないように過ごしていきたい
大事な時に、一緒に居れてあげられなくてごめんね。
苦しい時に、支えてあげられなくてごめんね。
大事な約束、守れなくて本当にごめんね。
本当は、ずっと一緒に居たかったんだよ。
あなたの隣に居て、笑い合える日々を過ごしたかったんだよ。
本当、なんだよ。
