RECORD
9/27、9/28
ずっと「生きていていい」と言ってもらいたかったんだと思う。
ずっと誰かに自分を肯定してもらいたかったんだと思う。
思う、というのは自覚がなくて推測が交じるから。
医者から「感情を抑制しようとする癖がある」と言われたから、
分からないと思ってしまうのはそのせいなのだろう。
家族の話を誰かにするつもりはなかった。
自分が応えられなかったのがいけないのだから。
自分が生まれてきたことが罪だったのだから。
ずっと。そうやって言い聞かせてきた。
誰も加害しないように。誰も傷つけないように。
自分が悪いのだと。出来損ないで、兄のようになれない自分が。
>>6619969
「その事実を、誠さんは"良し"にしないじゃないですか。
……よそにいっぱい居ましたよ、殺したいがままに殺すような人。
私のように、人の命なんか紙切れのように吹き飛ばす人。
感情なんかとっくに麻痺して、何も感じなくなった人……。
……あなたは、誠に命と向き合える優しい人だから。
だから私は、好きになったんです」
明確な殺戮衝動を持って、それを楽しいと思ってしまう。
それは確かに、疑いようのない事実だ。
けれど、その事が嫌だと感じているのもまた事実だろう。
越えてはならない一線を引いて、必死に越えないようにしている。
自分の日常を決して捨てきらずに生きてきた事は、
あなたの強さとも言えるのではないだろうか。
「……私は」
「誠さんが生まれてくれて、こうして私と生きて出会ってくれて。
……本当に良かったと、そう思ってますよ」
生まれてこなきゃ良かった、なんて言われたと知れば。
ハッキリとした声でそう言って。
「……誠さん」
「以前、将来の事について話しましたよね。
猟師になろうと思うとか。学校でも話しましたけど……」
「……今でもその将来に、私は居ますか?」
目線は真っ直ぐのままではあるけれど。
これからも生き続けるであろうあなたに、言葉を投げかけた。
>>6622820
「…………それでいい。
今は、それで大丈夫」
溜まった膿を吐き出させるように。
誰にも言えず、心に溜め込んでいた言葉を露呈させるように。
その自責を否定せずに肯定し、ただ優しく抱きしめた。
──ずっとずっと、苦しかったんだろうな。
誰にも言えず、自分を責めて責め続けて。
こんなボロボロの状態になるまで、堪え続けていたんだ──。
「いっぱい泣いて、いっぱい吐き出したら、また頑張りましょ。
出来るだけ傍に居ますから、二人で日常を取り戻していきましょ。
自分を許せないのは、お互い様ですから」
アヤメは今も、自分の事が好きにはなれない。
自分を許せるようになるのは、もっともっと先の話だろう。
……それはきっと、彼も同じこと。
「……誠さん」
「生きててくれて、ありがとう」
深い自己否定の末に、そんな選択を取ってもおかしい話じゃなかった。
それでも必死に生き続けてくれた事。必死に生きようとしている事。
それはきっと、強くなきゃ出来ないことだと思うから。
抱き締められて、肯定されて。
ずっと堪えてきたものが決壊して。
こんなこと誰にも見せるべきじゃないのに。
堪えなきゃいけないのに。
あまりにも、あたたかかったから。
こみ上げてくるものが堪えられなくて。
みっともなく、大声で喚いて泣き叫んだ。
本当は、ずっと。ずっとずっとずっと。
食べさせてもらえなかったことも。無理やり勉強をさせられたことも。
比べられてきたことも。怒鳴られてきたことも。
否定されてきたことも。自分のやることが許されなかったことも。
床に額を擦りつけたときも。靴の泥を舐め取らされたことも。
ずっとずっとずっと。苦しかったんだよ。
……そうして日曜日の夜。
兄貴が電話をかけてくるだろう時間の、凡そ一時間前だ。
何やら翼が考えがあると言っていて、ヘッドフォンの調達を頼まれた。
電話をしながら指示にしたがい、あれこれと準備をする。

誠
「あー……使い方これで合うとる?」

翼
「完璧っきゃ。
とりあえずお前が彼女によしよしされて
ええ感じにしゅっとしたんは聞いたけど」

翼
「兄貴とのイタ電が解決したわけとちゃうんやろ?
っちゅうことでちょっと俺らと遊んでもらおか」

翼
「高校の友達もお前が一緒なん了承してくれたで。
遊べるやつが多いに越したことはないやって。
皆に感謝しぃや~」

誠
「でも俺流行りのゲームとかなーんも持っとらんぞ。
やったこともあらへんし」

翼
「そこら辺は大丈夫や。
今日やるんはルールも簡単、ブラウザで無料で遊べる
はちゃめちゃイカしたゲームや」

誠
「あ、そういうんあるんや、へぇ。ほな俺でも遊べるか。
……遊び方は教えてくれるんやろな?」

翼
「そらあモチのロンやんけ。
別に俺らはお前を虐めたいわけとちゃう」

翼
「っちゅうことで。始めんで。
まずは招待を受け取って……そうそう。
もうさっさと通話繋いだ方が早いな。
そこのマイクのボタンぽちしぃや」

誠
「おう。これやな。
えー、これで通話が繋がっ」

翼
「皆~~~誠連れてきたで!
オールナイトごっ〇ぃの時間や!!」

誠
「オールナイトご〇ふぃ!?!?」
そんなこんなで男子高生特融のアホのノリで妙なゲームをオールナイトでやらされることになった。
なお見事に寝落ちした。
