RECORD

Eno.270 猫の記録

猫の記憶21

自分が思い出せる限り。
たった一度、本音を。心からの本音を人にぶつけたことがあった。

私の事を、”猫”と呼ぶ。初めての友達だった。
初めて、信用できた大人のひとだった。

そんなことを、ふと、思い出した。

今の私があるのは、あの人の影響が大きかったと思う。
でも。それも忘れてた。なかったことにした。

その人は、いつも。優しい人だというと、「自分勝手なだけ」と答えてた。
現実的な人だった。


狭い世界に閉じこもっているな。猫。



お前は猫なんだから。俺のところから逃げたっていいが、広いところに逃げてくれ。猫は自由気ままなものだろう



随分、変わった人だなって思ってた。
でも。凄く真っすぐな人でもあった、と思う。


忽戸は、話せないから…大人と いや、話せる、話せるけど 本心では話せない、のだろうな


でも、■は特別だ。忽戸の事を、友達と言ってくれたから



言い出したのは、自分からだったと思う。

私は。
私は、3度も自分を殺したのか。



……ばかだなぁ……ほんとうに



皮を剥いだ、先。
見えたのは、殺してしまった、幼い自分だった。