RECORD

Eno.346 海狛 呪理の記録

『CASE:Canopus』実現計画



Canopusカノープス
それはりゅうこつ座のα星、とある国では寿老人の星と呼ばれるもの。
その名を冠した『CASE:Canopus』は我々の悲願を叶える理想の存在である。


予てより人類はどうしようもなく渇望し、求めているものがあった。それは『永遠』だ。
永遠を、終わらない螺旋を求め、数多の科学的法則を時代とともに解き明かしてきた。
しかしその結果はこの世界の在りようを見ればわかることだろう。
科学というアプローチでは人は決して永遠を手にすることはできない。

故に我らは『神秘』にその願いを委ねることとした。
人類に『完全なる永遠』を与えることができる存在アノマリーを我々自身の手で定義し、創造するのだ。


計画のおおよその概要を記載する。必要なものは以下の通り。


あらゆる人魚の神秘や遺物
人魚の神秘を伴った素体、あるいは適応可能な素体(肉体が重要であるため人類を推奨)
人魚を『人が制御できる範疇』に収める手段(PROTOCOL:人魚姫 を参照)


人魚を選抜した理由は他でもない。
『不老不死』という祝福を人に与える存在として最も適していると考えたからだ。
八百比丘尼の伝承はこの国に非常に強く根付いた、強度の高い神秘と言えよう。その人魚の神秘が持つうる、永遠を与える可能性を我々の手で再現するのだ。

素体は『CASE:Canopus』を収容する杯として使用する。
あらゆる人魚の伝承や遺物を織り交ぜて作り出す『CASE:Canopus』は怪奇という不安定な状態で生まれ落ちることだろう。
だが永遠を与える存在は完璧でなければならない。その完璧に近づくために人体を利用する手筈というわけだ。
ただの人類を素体するのだけでは意味がない。『CASE:Canopus』に適応出来るように、その骨子が人魚に近い状態である必要があるだろう。
稀有な人材を探さなければならないことは重々承知の上だ。しかしこれは非常に重要な工程である。どれだけ時間をかけてでも適応する存在を見つけるか、作り出せ。

※注
神秘はその存在を暴かれることで持ちうる効力を減衰させる性質を有してしまっている。
いくら『不老不死を与える神秘』が実現したとて無くなってしまえば意味がない。
此度の計画においては人魚のメカニズム、在り方、正体等のあらゆる情報に対する考察を禁止する。実験にあたる者も最低限に済ませ、情報の漏洩も抑えろ。



さあ、我等の手で理想の『人魚』を作り上げよう。
そしていずれ…皆が求める永遠を確かなものに確立させるのだ。

どうか我らに、永遠を。終わることのない未来を賜ってくれますように。








そうして、ツギハギだられの人魚はヒトのエゴで作られ始めたのでした。
徐々に意識を得た人魚は何を思ったのでしょう。何を考えたのでしょう。
何を、何を、何を、何を、何を、何を、何を、何を────

─────ああ、ほんと、きらい。