RECORD
Eno.683 姫川 織江の記録
塩の柱
私を「生み出した」という研究施設───弓削生化学研究所。
その一角にある、何もない白い部屋の中に幼い私はいた。
その部屋の中で、私は一切の愛情を与えられずに育ってきた。
おむつやミルクの世話はされた……でも、それだけ。
私の世話をしていた人達は、私の眼を見る事も、話しかける事も、スキンシップもしなかった。
そんな風に育てられてきた私は、いつしか心も体も衰弱し切っていた。
ある日のこと。
何か悪いものにでも取り憑かれたかのように、
研究所の職員達が私に群がって来た。
彼等から殺意を感じ取り、私は幼いながらに感じた。
ああ、私は死ぬんだな、と。
愛を知らず、無為に生きて無為に死ぬ。
幼い私───被検体777号と呼ばれた幼児は、そうなるはずだった。
『こんな所で、あなたを死なせはしない』
気がつくと、私の周りにいたはずの人達は、全員真っ白な柱のようになっていた。
どうやらこの時、私のメタフィジカ───サリエルが覚醒したらしい。
サリエルが放った光は、見た者を『塩の柱』にしてしまう。
お父さんが遺してくれた手記によれば、お父さん達が研究所に乗り込んだ時、
中には夥しい数の塩の柱に囲まれた私しかいなかったらしい。
これが、私の力。私の罪。私の業。
この事実に押し潰されず、乗り越えろと。
そう仰りたいのですね、天使様。
その一角にある、何もない白い部屋の中に幼い私はいた。
その部屋の中で、私は一切の愛情を与えられずに育ってきた。
おむつやミルクの世話はされた……でも、それだけ。
私の世話をしていた人達は、私の眼を見る事も、話しかける事も、スキンシップもしなかった。
そんな風に育てられてきた私は、いつしか心も体も衰弱し切っていた。
ある日のこと。
何か悪いものにでも取り憑かれたかのように、
研究所の職員達が私に群がって来た。
彼等から殺意を感じ取り、私は幼いながらに感じた。
ああ、私は死ぬんだな、と。
愛を知らず、無為に生きて無為に死ぬ。
幼い私───被検体777号と呼ばれた幼児は、そうなるはずだった。
『こんな所で、あなたを死なせはしない』
気がつくと、私の周りにいたはずの人達は、全員真っ白な柱のようになっていた。
どうやらこの時、私のメタフィジカ───サリエルが覚醒したらしい。
サリエルが放った光は、見た者を『塩の柱』にしてしまう。
お父さんが遺してくれた手記によれば、お父さん達が研究所に乗り込んだ時、
中には夥しい数の塩の柱に囲まれた私しかいなかったらしい。
これが、私の力。私の罪。私の業。
この事実に押し潰されず、乗り越えろと。
そう仰りたいのですね、天使様。