RECORD
Eno.361 ジャンヌ土岐マリアムの記録
最近の出来事
最近、色々と事件があった。
一つ。舞の身辺に関わる事。
舞の姉である依緒さんの誕生会に行った時に現れた舞の許嫁。
その態度はあまりに不遜だったが、後日その男が殺されたことを知る。
調査の結果、どうも舞が開いてしまった「百鬼夜行」という存在と関りのある事らしかった。
特殊な力と言うものが舞の弓の師でもある老婆の鬼と彼女の下に集っている鬼たちを望まず凶行に走らせたと。
なんとか彼女たちと話をすることが出来、完全な原因究明まではいけなかったが
調査の報告をまとめることまでは出来た。
舞は……あの子は、私が鈴菜を殺したと叫んでしまった時に
裏世界の双百合女学院で話してからずっと何かを赦して欲しがっているように見えた。
それでも私のことを好意的に見てくれていた相手。
だから、彼女が何か困ったことがあれば力になりたかった。
その願いはなんとか叶ったのだが……
どうも、舞の開いてしまった「百鬼夜行」というものが、もしかすると
彼女が加害しようと思った相手をその通りに死に至らしめるものなんじゃないかという疑念が残った。
あくまで可能性だ。確実な証拠はない。それはこの先見つけていくしかないのだろう。
追記:この剣で試合をした相手の鬼から男扱いされたのは遺憾だ。いや、確かに男勝りな性格だとは自分でも思うが。
……やっぱり胸か? 胸が小さいのがいけないのか??
────
二つ。夢に関する事件。
「希望を見せた後で悪夢に変える」という悪質なことをするコアがあった。
それを破壊する任務があったのだが……その中で、私の夢はおそらく異質を放っていた。
希望の夢が、私が地獄でひたすら歩くシーン。
そして、悪夢のシーンは。鈴菜が、私に優しく話しかけるもの。
そこで、鈴菜はこう言った。
「マリー、さっき言ってたでしょ?
『これが悪夢なら、鈴菜をバケモノにでもするのか?』って。そう、そうなってたはずなんだよ。
地獄で苦しむだけじゃすまされない、苦しむ原因になった理由を再び目に焼き付けられる……。
そんな悪夢が発生しててもおかしくなかった」
「けれど、そうじゃない。そうはならなかった。
私はちゃんと『日坂鈴菜』としてここにいて、
そうしてハンバーグサンドをあなたに再び食べさせることが出来た。
それが『希望が叶った世界が壊れて映し出される悪夢』なら……マリーはちゃんと、
私の伝えたかったことを理解してるんだよ」
ハンバーグサンド。小5の冬に親友を怪奇に殺されギスギスしていた私の口に鈴菜が突っ込んだもの。
ハンバーグは焼きすぎで脂が出来ってパサパサ、野菜はレタスだけだし
食パンなんて運ぶ途中に吸ってしまった水分とかなんやらで湿っていた。
けど……どの店のハンバーグサンドよりも、ずっとおいしくて……
絶対に忘れられない味になったもの。
鈴菜がなぜこんな言葉を使ったのかは判らない。
けれど……事件解決後にキリエさんと話してみて少し判った気もする。
私は、まだ揺れ動いているんだ。
絶対に失いたくなかった鈴菜を殺した、そんな自分を殺したいほど憎むこと。
そんな私を赦した鈴菜の願いを叶えてあげたいこと。
その二つの間で。
……鈴菜の言っていたことが判れば、その揺れ動きも治まるのだろうか。
この数日後、奏とも話した。
他者の夢をも観測できる環境だったため、私は彼女の夢を見てしまったのだが。
それはただただひたすらに真っ白だった。
「何も叶えたい夢がないのだろうか」と心配した私は奏に勝手に夢を見てしまったことを謝りつつ真意を聞く。
そこで聞いた言葉。
「私が「夢」を見なかったのは、今、まさに夢を「夢」のままにしていないから。
夢を「目標」と変えて叶え続けようとしているから、なのかも知れませんわね。
今となってはもう分かりませんけれど」
強いな、と思った。
未だ自分の欲求と大切な人の願いの間で動いているような弱い私とは全然違った。
奏はもう、何百年と生きてきた存在だ。その貫禄もあるのだろうが……。
自分のやりたいことを確たるものとし、それを崩そうと日常の破壊を企むものがあればそれを守る力を発揮する。
奏自身はそれを「強欲な小娘とも言い換えられるもの」として美徳とはしていなかったが。
私は、それは違うと思う。
その「強欲」を誰かを守るための力に出来ているのなら。それはとても美しい姿だ。
中世の誉れ高き騎士だってそうだった。自らのプライドや人生の目標。
それを果たすことが出来る主君の下で戦い続けた。
暗君の下で略奪に生きた騎士もそれはいるだろうが。
ノブレスオブリージュを掲げる名君の下で働いた騎士は誉れの人として語り継がれる。
奏は間違いなく後者のタイプだ。私の憧れる姿だ。
それを貶すものは、例えそれが奏本人であったとしても許したくない程に。
私の持って生まれた鎖を解き放ってくれたことだけじゃない。
そんな凛とした強さを見て、私はますます奏が好きになっていった。
他でもない私自身が「私の恋」を邪魔しようとしているのは相変わらずなのだが。
──他にも起こったこと……百鬼夜行事件と温泉旅行のことについては、また別に書き記そう
一つ。舞の身辺に関わる事。
舞の姉である依緒さんの誕生会に行った時に現れた舞の許嫁。
その態度はあまりに不遜だったが、後日その男が殺されたことを知る。
調査の結果、どうも舞が開いてしまった「百鬼夜行」という存在と関りのある事らしかった。
特殊な力と言うものが舞の弓の師でもある老婆の鬼と彼女の下に集っている鬼たちを望まず凶行に走らせたと。
なんとか彼女たちと話をすることが出来、完全な原因究明まではいけなかったが
調査の報告をまとめることまでは出来た。
舞は……あの子は、私が鈴菜を殺したと叫んでしまった時に
裏世界の双百合女学院で話してからずっと何かを赦して欲しがっているように見えた。
それでも私のことを好意的に見てくれていた相手。
だから、彼女が何か困ったことがあれば力になりたかった。
その願いはなんとか叶ったのだが……
どうも、舞の開いてしまった「百鬼夜行」というものが、もしかすると
彼女が加害しようと思った相手をその通りに死に至らしめるものなんじゃないかという疑念が残った。
あくまで可能性だ。確実な証拠はない。それはこの先見つけていくしかないのだろう。
追記:この剣で試合をした相手の鬼から男扱いされたのは遺憾だ。いや、確かに男勝りな性格だとは自分でも思うが。
……やっぱり胸か? 胸が小さいのがいけないのか??
────
二つ。夢に関する事件。
「希望を見せた後で悪夢に変える」という悪質なことをするコアがあった。
それを破壊する任務があったのだが……その中で、私の夢はおそらく異質を放っていた。
希望の夢が、私が地獄でひたすら歩くシーン。
そして、悪夢のシーンは。鈴菜が、私に優しく話しかけるもの。
そこで、鈴菜はこう言った。
「マリー、さっき言ってたでしょ?
『これが悪夢なら、鈴菜をバケモノにでもするのか?』って。そう、そうなってたはずなんだよ。
地獄で苦しむだけじゃすまされない、苦しむ原因になった理由を再び目に焼き付けられる……。
そんな悪夢が発生しててもおかしくなかった」
「けれど、そうじゃない。そうはならなかった。
私はちゃんと『日坂鈴菜』としてここにいて、
そうしてハンバーグサンドをあなたに再び食べさせることが出来た。
それが『希望が叶った世界が壊れて映し出される悪夢』なら……マリーはちゃんと、
私の伝えたかったことを理解してるんだよ」
ハンバーグサンド。小5の冬に親友を怪奇に殺されギスギスしていた私の口に鈴菜が突っ込んだもの。
ハンバーグは焼きすぎで脂が出来ってパサパサ、野菜はレタスだけだし
食パンなんて運ぶ途中に吸ってしまった水分とかなんやらで湿っていた。
けど……どの店のハンバーグサンドよりも、ずっとおいしくて……
絶対に忘れられない味になったもの。
鈴菜がなぜこんな言葉を使ったのかは判らない。
けれど……事件解決後にキリエさんと話してみて少し判った気もする。
私は、まだ揺れ動いているんだ。
絶対に失いたくなかった鈴菜を殺した、そんな自分を殺したいほど憎むこと。
そんな私を赦した鈴菜の願いを叶えてあげたいこと。
その二つの間で。
……鈴菜の言っていたことが判れば、その揺れ動きも治まるのだろうか。
この数日後、奏とも話した。
他者の夢をも観測できる環境だったため、私は彼女の夢を見てしまったのだが。
それはただただひたすらに真っ白だった。
「何も叶えたい夢がないのだろうか」と心配した私は奏に勝手に夢を見てしまったことを謝りつつ真意を聞く。
そこで聞いた言葉。
「私が「夢」を見なかったのは、今、まさに夢を「夢」のままにしていないから。
夢を「目標」と変えて叶え続けようとしているから、なのかも知れませんわね。
今となってはもう分かりませんけれど」
強いな、と思った。
未だ自分の欲求と大切な人の願いの間で動いているような弱い私とは全然違った。
奏はもう、何百年と生きてきた存在だ。その貫禄もあるのだろうが……。
自分のやりたいことを確たるものとし、それを崩そうと日常の破壊を企むものがあればそれを守る力を発揮する。
奏自身はそれを「強欲な小娘とも言い換えられるもの」として美徳とはしていなかったが。
私は、それは違うと思う。
その「強欲」を誰かを守るための力に出来ているのなら。それはとても美しい姿だ。
中世の誉れ高き騎士だってそうだった。自らのプライドや人生の目標。
それを果たすことが出来る主君の下で戦い続けた。
暗君の下で略奪に生きた騎士もそれはいるだろうが。
ノブレスオブリージュを掲げる名君の下で働いた騎士は誉れの人として語り継がれる。
奏は間違いなく後者のタイプだ。私の憧れる姿だ。
それを貶すものは、例えそれが奏本人であったとしても許したくない程に。
私の持って生まれた鎖を解き放ってくれたことだけじゃない。
そんな凛とした強さを見て、私はますます奏が好きになっていった。
他でもない私自身が「私の恋」を邪魔しようとしているのは相変わらずなのだが。
──他にも起こったこと……百鬼夜行事件と温泉旅行のことについては、また別に書き記そう