RECORD

Eno.44 梅園プラムの記録

独白

涙で揺らいだ光景は、いつも通りだというのに、温かく映って。
心を寒々しく理解たらしめた、人心なるものを支えてくれた。

貴方が此処にいませんマツタケさん どこにいってしまったのですか
貴方が此処にいませんとてもとても こころがさびしいです
貴方が此処にいませんどれだけたのしいことがあっても むなしいです

漸く視界の開けた私の片側を支えてくれた、貴方がいません。
盲目の中、蒙昧なる私の言葉を逐一正してくれた、貴方が居ません。
私が私として言葉を発せるのは、他ならない貴方の御蔭でしたのに。

その言葉を届けられる貴方がいません。

包み隠さず話せることは愚かしく。
己を持たずに、心無く曝け出す行為なのでしょう。
獣の叫喚だと蔑む人も、いるのでしょう。

そういうものですから。
同じ人だというのに見下すのです。
それは時に、自身に対しても向けられることがあると言います。

私は、そう思いませんでした。
己という存在を紐解くのに時間をかける人も存在するからです。
中には解くことすらできずに、人の言葉でしか話せない人も存在します。

私は後者で、貴方に紐解いて頂けましたから。
今なら理解することができます。

だから待ちました。
貴方が解いたそれを一粒ずつ待ちました。

一つ、また一つ。
見せて頂けることで私は恩返しを出来ると。
そう、想っていたのですけれど。

それは間違いだったのでしょうか。

貴方は、姿を消してしまいました。
それに対して追及する事は、してはいけないのでしょう。
もっと前からすべき事柄だったのでしょう。

私もまた。
紐解くお手伝いをすべきだったのでしょう。

故に、待ちましょうこれはとっても自分勝手
貴方が再び形造られて在らずに願う ひとりごと
私の前に姿を現すその日まで祈るを知ってしまった私の物語