RECORD
Eno.110 紅坂 一途の記録
一途に咲く花 5
持っていた物を投げ出して、慌ててその炎へと駆け寄った。
二人を失うことが嫌だった。
助けられるのなら自分の命に変えてでも、二人のことを助けたかった。
けれど、今更助けられるはずがないと周りの人たちが俺を引き止めた。
それでも尚炎の中へ飛び込もうとする俺を必死にその場に繋ぎ止めてくれていた。
泣き叫ぶように二人の名を呼び続けても、炎の中から返答はなかった。
泰の舎弟たちが、近所の人たちが、言祝ぎにきていた人たちが何度も水をかけても
その炎が勢いを止めてくれることはなかった。何もかも焼き尽くそうとするように。
……火が止まったのはすっかり家が焼け落ちてしまった後だった。
何も残っているはずがないとわかっていても、二人を探さずにはいられなかった俺は
組の人たちと共になって、真っ黒になってしまった家の跡を探し回った。
当然、あるわけなかった。人のような形すら、そこには残っていなかった。
いなくなってしまった。あの太陽のような人たちが。
悔しい思いが残りつつも頼れる兄貴分で嫌いになれなかった泰が、
どんな花よりも美しくてずっとずっと好きなままでいる菘さんが。
俺は真っ黒に焼け落ちた家だったものの中で、立ち竦む事しかできなくなっていた。
……何もかもを失ってしまったような気持ちだった。
二人を失うことが嫌だった。
助けられるのなら自分の命に変えてでも、二人のことを助けたかった。
けれど、今更助けられるはずがないと周りの人たちが俺を引き止めた。
それでも尚炎の中へ飛び込もうとする俺を必死にその場に繋ぎ止めてくれていた。
泣き叫ぶように二人の名を呼び続けても、炎の中から返答はなかった。
泰の舎弟たちが、近所の人たちが、言祝ぎにきていた人たちが何度も水をかけても
その炎が勢いを止めてくれることはなかった。何もかも焼き尽くそうとするように。
……火が止まったのはすっかり家が焼け落ちてしまった後だった。
何も残っているはずがないとわかっていても、二人を探さずにはいられなかった俺は
組の人たちと共になって、真っ黒になってしまった家の跡を探し回った。
当然、あるわけなかった。人のような形すら、そこには残っていなかった。
いなくなってしまった。あの太陽のような人たちが。
悔しい思いが残りつつも頼れる兄貴分で嫌いになれなかった泰が、
どんな花よりも美しくてずっとずっと好きなままでいる菘さんが。
俺は真っ黒に焼け落ちた家だったものの中で、立ち竦む事しかできなくなっていた。
……何もかもを失ってしまったような気持ちだった。