RECORD

Eno.242 栗花落 浅葱の記録

02:久しぶりの同級生

最近、数年ぶりに中学校の同級生と出会った。
男子には変声期があるし、身長も変わっていたけれど、名前を呼ぶと反応した。
彼は僕にとって他の同級生と大差ない存在だったことは確かだ。

そんな存在をなぜ記憶していたのかといえば、彼が不登校になったから。
不登校になる原因となる、出来事があったから。その噂があったから。
僕はその噂に紐づけて彼を覚えていた。それを言ったら彼は発作を起こして倒れていたかも。

数年ぶりの再会はとても面白く、興味深く、好奇心が擽られた。
僕はあそこまで追い詰められて壊れて這いずっている人を、あまり見たことがない。
それはそうだ。彼がそれを証明しているように、そういう人は学校には来ない。

そんな存在はありきたりなはずなのに、僕はそれを知らない。
人の心というのはどんな風に壊れていくのだろう。どんな風に壊れたまま動くのだろう。
彼の壊れた心はいったいどの時間で止まったままなのだろう。それとも動いているのかな。

おめでとうとは言わないよ、ありがとうとは言うけれど。
ありがとう、網戸レン君。君は僕の知らない人間になって僕の前に現れてくれた。
ありがとう、網戸レン君。君はよくいるありきたりだけれど、僕にとっては貴重なサンプルになった。

たぶん、だけれども。
こういうのは人に話してはいけない感情のような気がする。
好奇心は猫をも殺す、とも言うから。


―――でもさ。
興味を持ってしまったんだ。
好奇心を擽られてしまったんだ。







だったら、仕方がないじゃないか。



僕はそれが観測たいんだから。