RECORD

Eno.2803 花園 茉佑香の記録

実験記録20260104

花園茉佑香の神秘における再定義について
正式名称:対固有神秘実験35668番
説明:この実験は花園茉佑香が持ち寄った証言に基づき、彼女が保有する固有神秘(以下「花」と呼称)について、その消失条件などから性質を再定義するものである。

証言:花を構成する物質は、異界で病として流行ったものの類型である。病の名は「心身脆弱化症候群スターダスト」と言い、感情が増幅され、物理的にもそれに左右されやすくなり、最終的には全身が花の構成物質に置換されて砕け散るらしい。これらのことから、花は「神秘保有者の感情」に沿って運用されている可能性が高い。

実験1:花園茉佑香に「フィクションである」と伝えてから悲劇的なシナリオを見せる。
結果:花園茉佑香は涙を流したが、花に変化はなかった。

実験2:花園茉佑香に「ノンフィクションである」と伝えてから悲劇的なシナリオを見せる。
結果:花園茉佑香は意気消沈し、花は散った。

実験3:花園茉佑香に「フィクションである」と伝えてから喜劇的なシナリオを見せる。
結果:花園茉佑香は楽しげにしたが、花に変化はなかった。

実験4:花園茉佑香に「ノンフィクションである」と伝えてから喜劇的なシナリオを見せる。
結果:花園茉佑香は上機嫌になったが、花に変化はなかった。
メモ:減るのと増えるのでそんなに差があるのか? 女の情緒は分からん。

実験5:花と共に密閉空間へ実験用モルモットを隔離して経過を観察する。
結果:7時間経過するも、実験用モルモットに変化はなかった。

実験6:花と共に7時間隔離した実験用モルモットに固有神秘「瑕疵なき百合」を実行する。
結果:実験用モルモットに変化はなかった。
補遺:「瑕疵なき百合」の影響を暴露時間に換算した場合、およそ23時間と見られている。

実験7:花と共に7時間隔離した実験用モルモットに固有神秘「瑕疵なき百合」をもう一度実行する。
結果:実験用モルモットは激しく動揺を示し、手足の震え、動悸といった症状が見られた。
補遺:更に観察を続けた結果、実験用モルモットは徐々に身体を硬直させ、最終的には砕け散った。これらのプロセス中、実験用モルモットの体内には不明なエネルギーが発生していた。

経過:実験用モルモットに罹患の兆候が出た時点で花園茉佑香は大きく動揺し、花の多くが散ってしまった。心的外傷が予想され、実験は中止された。

総論:我々はこの花に対する認識を改める必要がある。危険性もさることながら、花の正体が「花園茉佑香の感情そのもの」であると分かったことが大きい。これは謂わば「魂と感情の物理実装」であり、その特異さは筆舌に尽くし難い。
メモ:今のところ人間や怪奇への有害さは低い……そう見積もりたい。被験者の体調が回復したら、今度は人体実験に踏み切りたい。