RECORD
私の道
辱めを受け、親を殺され、親友を失って。
その痛みを復讐という形で誤魔化し続けてきた殺人鬼だ。
そんな私にも、大切にしたいものが出来た。
燃えるような憤怒の感情を忘れさせてくれる、愛しい人が出来た。
その人の為に復讐を忘れることだって、出来ないことじゃなかった。
>>8143641
「私だって、復讐心を捨てたくない。
理不尽に奪われて、嘲られて、捨てられた過去を忘れられない。
のうのうと生き残って、私だけが生を享受してるって考えると気が狂いそうになる。
家族は、友達は、みんな死んじゃったのに。
なんで私だけ生きてるのか、意味が分からなくなる。許せなくなる」
復讐心も、自己否定も、あなたを愛する気持ちも。
全て、心の底からの本心で。全て、否定出来ないもので。
けれど、それは幸せを捨てる修羅の道。そんなの、分かりきっていて。
「……でも、それでも。
貴方が行かないでって言ってくれたのは、うれしいの。
もう復讐なんかどうでも良くなっちゃうくらいに、苦しいくらいに嬉しい。
それも、本心なんだよ」
だからこそ、欲していた言葉は嬉しくて。
同時に苦しいものでもあって、どう受け止めればいいか分からない。
それを受け入れれば、自分は何者にでもなくなってしまうから。
「だから、だからね。
復讐をやめたら、きっと私は空っぽになっちゃうけど。
それでも、行かないでって強く引き留めて欲しい。
私に、生きて良いって言って欲しいんだ。
何も出来ない私でも、それでも良いんだよって言って欲しいんだよ」
理不尽に対して何も出来なかった怒りが復讐者を生んだ。
その怒りを包み込んで、何も出来なかった自分を全て赦してくれるなら。
少しずつでも、もう一つの道を歩めると思うんだ。
彼は私に『行ってほしくない』と言ってくれた。
心の中に湧いた、もう1つの本心が求めていた言葉を告げてくれた。
だから……力強く、ハッキリと言ってくれるのであれば、諦められると。
そう、思っていたのだけれど。
>>8143844
「……復讐を捨てたって。
アヤメはアヤメで、俺は変わらずアヤメのことを
愛し続けるよ。
それは約束するし、絶対に裏切らない」
復讐を成し遂げても、引き留めても。
きっと……空っぽにはなってしまうのだろう。
復讐とはそういうものだ。そのために生きて、終われば何も残らない。
まるで線香花火だ。
復讐に至るまでは輝いて、復讐の間際に一際強く輝いて。
そうして。落ちて、消える。
「…………だけど」
「復讐をやめるのは……少しだけ待って欲しい。
どうにかして、お互いが本当に心から納得できる形を探したい」
例えばほんの少しだけこちらからいなくなるだけで
済ませることができるような。
あなたの命綱になるような保険を準備して臨ませるだとか。
本当にそんな術があるかなんて分からない。
けれど、分からないのが神秘ならば。
→
>>8143844
「ーー 俺は復讐を望む心も、ここで幸せになる未来も、
どっちも守りたい」
可能性は、ゼロじゃないはずだろ。
……彼は、力強い言葉で、どちらの道も選んだ。
片方の本心を諦めることなく、一番難しいかもしれない道を選んでくれた。
そこには、弱々しさなんて一つもなくて。
ただただ、彼は夜の満月のように輝いていた。
……きっとまだ、彼を巻き込む事に負い目を感じている。
けれど、彼に頼ることでどちらもを得られるのなら、そうしたい。
そうする覚悟を、改めてあの場でした。
だから、見てて。
必ず、復讐を果たして貴方の元に帰るから。
絶対に────。


