RECORD

Eno.346 海狛 呪理の記録

PROTOCOL:人魚姫



PROTOCOL:人魚姫について


『CASE:Canopus』実現計画における第二の工程。
これは顕現した『CASE:Canopus』を人類が扱える範疇にまで落とし込むための手順である。


人魚姫。
その物語を一言で表すのなら『王子に恋した人魚の話』である。
この世界には古今東西問わず数多の人魚の伝承や寓話、物語が転がっているが、この『人魚姫』ほど人類にとって都合の良い在り方はない。
人に友好的であり、害する価値観をもっておらず、積極的に奉仕しようとする意志がある。
我々はその性質を利用することにした。

まず『CASE:Canopus』の器になりうる『竜骨の杯』に人魚姫に関する書物を与え、人格形成に影響を与えるよう教育を施す。
次に我々研究員の中から一人を選別し、『王子』という役職を与える。
『王子』には『竜骨の杯』に対して好印象を与えるアプローチを演じてもらうことになる。
方法は一任するものとするが、以下に簡易的な例を記載しよう。

・現状の不満を聞き出し、そこから救い出す方向性の言動(「なんとかなる」等)
・杯に対する特別な接待(童話のお姫様のような扱いが妥当だろうか)
・人類に対する悪印象への否定

これらを用いて、『竜骨の杯』に『人魚姫』に近しい価値観を植え付けることができればこのプロトコルは成功と言える。
『CASE:Canopus』を体現させた際にも、杯に刻まれたその価値観は残るはずだ。
あとは『王子』による制御にて人類に永遠を与えるように方向性を定めれば良い。


ただあくまで仮段階のプロトコルである点は留意するべきである。
神秘という未知を扱う以上、多くのイレギュラーも想定される。
場合に応じてこのプロトコルは柔軟にアプローチを変えていかなければならない。
研究員、ひいては『王子』役に選ばれるであろう人材にはその認識を徹底させるように。