RECORD

Eno.32 不藤識の記録

record. 『曇り眼に写るのは、世の不条理』

 昼頃にイスカ先輩と稲城通りで飯梯子をした。
 やっぱり稲城通りの店はだいぶ質が高い。
 今後も贔屓しようかな。


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 資料室で調べたいことがあった。
 ひとつ、カモフラージュも兼ねた神秘についてのお勉強。
 これは恐らく後々に始まる全体向けの講義でも学ぶことだろう。それ以外にも、少々深く踏み込んだ内容……暴かれた神秘について、調べたけれど。
 実例はとても参考になる。自分から神秘をとったら何が残るのか、自分でもわかっていないことが多い。普通の生活がしたい気持ちもあれど、慎重にならざるをえない。

 ふたつ、炎の神秘、怪奇現象について。
 これは自身のルーツを探る行為でもあった。そういった神秘の実例、現存する生き資料、過去の怪奇を片っ端から集める。週に1~2回はやる恒例行事。
 成果としては、自身の日食い柘榴に関係ありそうな人も怪奇もいなかったこと。
 真逆の性質、熱を与えて膨張させる神秘を持つ、不知火という名の管理局員が過去にいたようだけど、まぁ……詳しい話を聞いた感じ、恐らく関係はないだろう。
 これについては、四門さんにも協力して貰っている。こちらは火の神秘への対処的なところで、自身の強化に繋がると予想してのもの。

 みっつ、海について。
 人魚の伝説はまばらに各地に散りめぐらされていて、神秘とはなんなのかを思い知らされる。
 確かにあの時みたのは、そんな形だった気がするんだけど。完全に関わりがないと決まったわけでもなし、海に関する神秘は時間があったら今後も調査を継続しよう。
 虚戯さんから人魚の話を聞いたところ、かなり参考になる話があったのでしっかり記憶しておく。
 先輩が話していたハゲ人魚のことは一旦忘れておく。

 昔、何か知ってそうな従姉に聞いても、はぐらかされるだけだったし。
 孤児ってところにも含みがあって。
 自分は本当に、ただの捨て子だったのだろうか。未来だけじゃなく、過去にさえも不安が残る。
 自分は現在いま、何処にいるのだろうか。


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 神秘管理局のトレーニングルームにて色々やっていたところ、新たに弟子が出来た。
 なんと束高1年の弟子である。どうやら槍を教わりたいんだと。
 基礎なら問題なく教えられるので、暫く都合の良い時に面倒を見ることになった。
 初めての弟子だ。とはいえ教えるのは武器を持つということ。
 相当な覚悟が必要だから、スパルタで行こう。

 それと、どうやら今期から民間人協力者として入った人が本当に多いそうで。
 虚戯さんもそう。……太陽も、そう。
 どうしてだろう。こんな世界に、これだけの人が関与している。
 全くもって嬉しくない。ふざけるな。

 なんでこうも、人の平和は脅かされるのだろう。
 やっぱり、世界は不条理に満ちている。