RECORD

Eno.427 大狼拾希の記録

0/2:■■■-『リセット』-

バーベキューの集団に混ざる。
これも普通の学生らしいイベントだろうか。きっとそうなのだろうと思いたい。
食事の味。身体に染み付いたにおい。昂ぶる気持ち。

人の群れは慣れない。そろそろ余裕が無くなってきた。
一休みでもしようかというその瞬間。それはきた。

「……またか」



頭と身体が冷える。心も一気に冷える。
感じるそれは懐かしさのようで、もううんざりとする程に繰り返してきた事がわかる一つの起点。

花火の音。それに重なるように歪な何かの慟哭のような音が頭の中に響き渡る。

『リセット』…それは普段の状態とは異なる異能。
しかしそれの症状もいくつか種類がある。

ただ状態が戻るだけの時。
今のように心の状態ごと戻る時。
それともう一つ、この慟哭が聞こえる時。

周囲には違和感を可能な限り感じさせるわけにはいかない。

人混みを離れていく。
震えたスマートデバイスの画面に表示された通り、報告を行う。
今回は症状が異なるため少し面倒だ。
しかしそれも終えた所で、近くに転がっているボトル達が目に入った。

しばらくそれらの片付けを行っていたところで話しかけてくる人がいる。

振り返り、揺れる黒髪を見て一瞬、それが誰かわからなかった
そして浮かんだ名前は

『■■』



違う。
言葉を飲み込んで、平静を装い会話する。

既にそれが誰かもわかっていた。
しかし、一瞬混濁する記憶は、今の自身と異なる誰かのもののようで。

過去の記憶を取り戻すためには、
きっとこの『リセット』の原理を解明する必要があるのだろう。
しかし、それをした時………そこにいるのは一体誰なんだろう。