RECORD

Eno.364 桑原 あまねの記録

いつも通りが崩れた日

ヨリちゃんと智美の発案で、今年度一発目のオカルト同好会の現地調査――もとい。

心霊スポットらしい場所へ足を運んでみる事になった。

学校から30分くらい歩いたところにある小さな公園。
なんでもそこで女性の幽霊がたくさん目撃されているらしい。

本当は草木も眠る丑三つ時にそこへ向かうのがベストなんだけれども。
幽霊達の時間に、家族の目を誤魔化して家を出るのは難しかった。

だから智美とヨリちゃんと一緒に塾が終わる21時頃にその公園に足を踏み入れた。

ハズ、だったのだが……。

何かが『ぅわん』と吠えるような耳鳴りのような不思議な感覚に襲われた。

空気が一息に変わった。
まるでコインの裏と表が入れ替わったかのように。
街のざわめきは遠くへと押しやられ、静寂だけがそこにはあった。


もう真っ暗だったはずの空は、夜明けとも夕暮れともとれる藍色と橙色が混ぜ合わさったノスタルジックな荒廃とした色彩に染まって。

地面に長くながく伸びた影法師がひとつだけ。

私だけがこの風景の中にいた。

見知らぬ光景。記憶にない音。
肌慣れない風の温度。


その日、私は初めて『世界』に『裏側』がある事を知った。